【スーパーGT】タイヤ無交換か、4輪交換か……その選択が明暗分けた52号車Green Braveと2号車muta。両エンジニアの“脳内”にあったもの
4輪交換決め打ちのmuta。事前のシミュレーション通りの結果に
一方の2号車mutaの渡邊信太郎エンジニアによると、彼らは事前のミーティングからタイヤを交換する方向で決めていたという。それはタイヤのデグラデーションに関するシミュレーションの結果から判断したという。 「例えば10周ごとに、ラップタイムに対してデグラデーションの影響がどれだけ出てくるかをシミュレーションしました。その結果、50周のレースではタイヤを換えない方が4秒くらい有利だという結果が出ました」 「でもそれは50周のシミュレーションですし、実際はまだあと20周以上あります。例えば(フレッシュタイヤを履くライバルに)1周コンマ5秒速く走られてしまうと、10周で5秒縮められてしまいます。タイヤを換えて、1周でコンマ2秒でも3秒でも速く走れば挽回できると思い、我々としては換えない判断をしました」 また渡邊エンジニアは、ファーストスティントを走る平良響がクリーンエアに入ったところでフルプッシュを指示。そこでフレッシュタイヤを履くライバルを上回る1分40秒台のタイムが出せたため、ギャンブルをせずタイヤを交換してもコース上でしっかり追いつくことができると確信したという。 結果的には、2号車mutaの作戦が効果を発揮した格好。「事前のタイヤデグの計算が合っていた」と渡邊エンジニアは語る。 これで2号車mutaは3ポイントを加えてポイントリーダーの座を死守。一方で52号車Green Braveは首位mutaとの差が20点以上離れる形となり、厳しい状況となった。両エンジニアは後半戦の展望をこう語った。 「今後はBoPの変更で僕らが得意とするダウンフォースを使う領域がスポイルされる予定。そういう意味では、今後戦いにくいなと(渡邊エンジニア)」 「点差を考えると厳しいのですが、2号車どうこうではなく、ウチはウチらしくやって結果がついてくればと(近藤エンジニア)」
戎井健一郎