『鉄人』玉鷲、誕生日40歳白星 「まだ成長中」原動力は「お客さんを喜ばせる」【大相撲九州場所】
◇16日 大相撲九州場所7日目(福岡国際センター) まだまだ元気で若い。”鉄人”玉鷲がまた新たな勲章を手にした。人生の節目となる40歳の誕生日に幕内の土俵へ。取組前から「おめでとう」のお祝いの声がファンから注がれた中、翠富士を豪快に押し倒して4勝目。力勝負で今場所初の連勝をマークし、不惑の初陣を最高の形で飾った。 「人間の体はここまで成長する、できるというのを見せたい。まだ成長中なので」。40歳以上の現役幕内力士は昭和以降で6人目。戦後では元大関名寄岩、同じモンゴル出身の元関脇旭天鵬(現大島親方)に続いて3人目となった。 歴代1位の通算連続出場記録を1650回まで伸ばした男はすでに次の境地を見据える。幕内で現役25年目を迎えることだ。昨年の九州場所と今年の春場所で着用し、今はしまってある銀色の締め込みがきっかけになった。2004年初場所で初土俵。43歳で25年目に到達する。 昨年3月に日本国籍を取得した。日々の楽しみの食からくぎなどを使わない建築技術「木組み」まで日本文化へ興味を広げていった。そんな中、銀婚式を知った。 「すてきな日本の習慣。現役で25年を実現できたら、シルバーのまわしも堂々と着けられるのかな。頑張りたいっすね」 険しい道だと分かっている。突き押し一本。力負けして「昔の玉鷲に戻りたい」とつぶやく日も増えてきた。目の前の相手だけでなく、自分との闘いでもある。だからこそ、稽古では四股やすり足、ぶつかりなどの基礎を何より重視する。「体のために苦い物を食べるのと一緒」。今も砂にまみれて自らを追い込む。 40代も変わらない原動力は「お客さんを喜ばせる」。力を出し切ったときのうれしい褒め言葉は「20代みたい」「若々しい相撲」。ファンとともに玉鷲が前人未到の金字塔へ歩みを進めていく。 ▽八角理事長(元横綱北勝海、40歳を迎えた玉鷲について)「立派だ。体を鍛えていてもともと丈夫なんだろうけど、気力がある。気持ちが若い。体が張っている。けがもなさそう」
中日スポーツ