岩崎悠雅に生まれた「帝劇に立つことへの憧れ」 インプット期間を経て次のステップへ
ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズンに海堂薫役で出演し、注目を集めた岩崎悠雅。今後もミュージカル「黒執事」~寄宿学校の秘密 2024~、舞台『刀剣乱舞』士伝 真贋見極める眼と人気作品への出演が次々と決まっている。 【写真】ミュージカル「黒執事」や舞台『刀剣乱舞』に出演する岩崎悠雅 長く出演した作品からの卒業を経て、新たなステップを踏みはじめている彼に、現在の心境や近況、新しく見えてきた展望について語ってもらった。 ■“テニミュ”の卒業を機にインプットを意識するように ――2024年の上半期はミュージカル『テニスの王子様』4thシーズンの卒業という、節目となる出来事がありました。今の心境を教えて下さい。 “テニミュ”を卒業したくない気持ちもありましたし、でもここからまた新たなスタートを切るんだなと、いろんな感情が生まれた期間でした。 今は、青学(せいがく)11代目の仲間たちがそれぞれの道で頑張っている姿を見て、負けないようにしなきゃと気が引き締まっています。 ――“テニミュ”を卒業したひと区切りで、自身の変化はありましたか? ここ最近は、自分のレベルを上げるための行動のフットワークが軽くなったなと思います。次の作品まで少しお休みがあったので、いろんな作品を観に行ったり、ボイトレも毎週行ったりと、インプットの期間になっています。 気持ちを改めて、どんどん新しい作品と向き合えるように、少しでもレベルアップして次の作品の稽古に入りたいんです。そこで、意識的にインプットしていこうという思いが強くなりました。 ――ゆっくりする時間もできましたか? 1年ぶりに実家に帰って、久々に家族に顔を見せました。その期間は母が勝手にスケジュールを決めていて(笑)、帰った次の日は朝からここに行って、夜は祖父母とごはんを食べて、翌日は弟の家庭教師をしてくれている僕の同級生も含めてごはんに行って…と、結構忙しかったんですが、家族と一緒に過ごしてリフレッシュできましたね。 特に、祖父母のことが大好きなので、お互いに元気に会えてよかったなって思えました。 ――ご家族と仲がいいんですね。 ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズンDream Live 2024 ~Memorial Match~では、祖父母と母が東京公演を観に来てくれました。祖母は腰が悪いのに、わざわざ遠くから来てくれて、ちょっと泣きそうになりましたね…。ずっと元気でいてほしいです。 現地に来られないときも、みんなで配信を見てくれています。遠くにいても、家族に成長を見てもらえることがうれしいですね。 ■初めての帝国劇場での刺激的な体験 ――以前のインタビューではショートドラマの脚本を書いているとお話されていましたが、その後はいかがですか? 脚本を書く側の気持ちもわかって面白いなと書いていたのですが、途中からなんだか無理をして話の続きを考えているかも…と思ってしまったときがあって、今はいったん中断しています。書きたいと思えたときに、また書こうかなって。 やらなきゃって考えるほどできなくなるし、ちょうどバタバタしていた期間だったので、もう一度気持ちと構想が湧いたら再開します。改めて、脚本家さんってすごいなと思いますね。 ――今の構想を少しだけ教えてほしいです。 ドラマをイメージしていて、台本のように役柄+せりふで書いています。この場所なら借りられるかなとか、外だったらあの駅のあの場所がいいなとか、ざっくりイメージしながら作っていました。配役もこの人にやってほしいなってほぼ決まっているんです。 ――かなり具体的なんですね。ちなみに、ドラマということはこれから映像作品への出演願望があるのでしょうか? 映像に出たい気持ちもありますが、今はもっとミュージカルや舞台を頑張りたいなという思いが強いです。 先日、『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』を帝国劇場で鑑賞したとき、劇場に入っただけで、その迫力に感動したんです。みんなが「帝劇に立ちたい」と口にする気持ちがやっとわかりました。 帝劇に立つことへの憧れが生まれましたし、やっぱり一流と呼ばれる先輩方の歌が本当にすごくて、ずっと鳥肌が立っていました。そういった、歌や芝居で感動させるような人に自分もなりたいなって。 ――そこまで魅せられる、ミュージカルの面白さはどんなところですか? ミュージカルのよさは、まず歌の表現の仕方が面白いところだと思います。歌い方によって、まっすぐそのまま感じることもあるし、歌詞はすごく明るいのに、歌手がちょっと悲しそうに歌うと、また別の受け取り方にもなる。 逆に、歌わずにストレートプレイで見せる演技も見どころのひとつですし、公演ごとに少しずつ表現が違うのも面白いなって感じます。 ■これまでになかった好奇心を楽しんでいきたい ――これからのお仕事としては、まず9月に『ACTORS☆LEAGUE in Basketball 2024』がありますね。 これまで一度もゴールを決められていないので、まずはそれが目標です。ずっとサッカーをやっていて、バスケは初心者なんですよ。サッカーと違って手を使うし、経験者が全力でドリブルしてくると怖くて、うぉ~って避けちゃうのも克服したいですね(笑)。 ――同じく9月には、ミュージカル「黒執事」~寄宿学校の秘密 2024~も上演されます。 エドワード・ミッドフォードという役柄は、これまで僕が演じてきた役とはまた違ったキャラクターなので、新しい自分を見せられることにワクワクしています。 応援してくださっているファンの皆さんから「どんな舞台になるのか楽しみです」といった声をいただくのですが、その期待を超えられるように、準備期間を大切に過ごしながら、「黒執事」の世界観を楽しんでいただけるように頑張りたいです。 「黒執事」では“テニミュ”で共演した塩田一期くんと、また一緒に舞台に立てるのもうれしくて。しかも、また先輩後輩の役柄なので、二人で「アツいね!」って話していて。稽古が楽しみです。 ――2025年7月には舞台『刀剣乱舞』士伝 真贋見極める眼にも出演が決定しました。 すでに殺陣の稽古をしていて、これからマスターしながら、今まで先輩方が積み重ねてきた舞台『刀剣乱舞』の世界観をしっかりと表現したいなと気合いを入れています。 舞台『刀剣乱舞』はやっぱり殺陣が見ごたえのある舞台なので、今からやっておかないと追いつけないんですよね。殺陣に加えてキャラクターも作っていかないといけないので、時間をかけて技術を習得しながら、丁寧に役作りしていきたいなと思っています。 ――今後の作品に向けて、どう過ごしていきたいか、展望はありますか? 目の前のことに一生懸命だった上半期が終わって、「黒執事」をまず頑張った後は2025年に向けての準備の時期になるのかなと思っています。たくさんよいものをインプットして活かしていきたいです。 これからは舞台やミュージカルなど俳優業に直結するものだけでなく、美術館や博物館にも足を運んでみたいなと思っているんです。今まで触れてきたことがないものを取り入れたくて、まずは博物館で刀を見たいです。本物ってどれくらい鋭いんだろうとか、これまでになかった好奇心も楽しみたいですね。 ――そういった気持ちの変化は、帝劇で初めての経験をした影響も大きいですか? そうですね。帝劇に入ったとき、なんだか緊張したんです。お客さんの年齢層が幅広いし、海外のかたもいて、別世界に来た感じがして…初めて感じたことがたくさんありました。刺激的な体験でしたね。 帝劇の舞台に立ちたいというひとつの目標が出来て、さらに歌も演技もブラッシュアップしていきたい。もっと新しいものをどんどん取り入れて、よりよい役者になっていきたいです。 ◆取材・文=イワイユウ 撮影=山内洋枝 スタイリスト=齋藤良介 ヘア&メーク=田中宏昌 衣装協力=CULLNI、LION HEART、LHME、Casper John、AIVER、LHME/シアンPR