こんなことってある?!7点差をひっくり返して阪神に勝利した横浜DeNA筒香の決勝アーチの裏に何があったのか?
風に泣き、風に笑った。 ハマスタに吹き荒れたきまぐれな強風を前半は味方につけることができなかった。2回に先制点を失い、なお二死二、三塁で近本が打ち上げた打球が強風に流れレフト前に落ちた。3回は無死二、三塁で佐藤を打ち取ったかに思えたが、高々と打ち上がった打球が風に流れて森、筒香、関根の3人の“魔の三角地帯”に落ちた。これは捕球しなければならない打球だった。さらに無死満塁から木浪を一塁ゴロに打ち取ったが、牧が一塁カバーに入らずホームゲッツーが取れずに走者を残し、二死満塁となってから近本のグランドスラムが風に押されてライトスタンドへ消えた。この時点で2-9。普通ならばギブアップである。 だが、横浜DeNAは、あきらめなかった。4回に佐藤のエラーから1点を返し、5回二死一塁から牧、佐野の連打で5点差とし、満塁となったところで、京田の引っ張った打球が強風に乗り、背走した井上のグラブが届かず、走者一掃のタイムリー二塁打となった。 「最後にこういう展開があると信じて何とか1点でも取れればいいかなと思ってよかったです」 欠場した宮崎の代役に三塁を任された京田は、この日、5打点。2点差にして先発の伊藤をマウンドから引きずり下ろした。 三浦監督は「風の影響もあったが取れるアウトをとれなかった」と反省を促しつつも「リリーフがしっかりと抑え、打線がジワジワと追い上げた」とチームの反発力を称えた。 横浜DeNAが7点差以上をひっくり返して勝ったのは2019年9月19日の広島戦以来5年ぶり11度目だという。 一方の岡田監督は先発した伊藤の制球力の悪さを嘆いた。 「ボールが高いやん。この風やし(セーフティリードがない怖さは)みんなわかっていることやんか」 風と失策と四球…。すべての敗因要素が失点に絡んだ。 長い駐車場をバスまで黙々と歩いた岩崎は、「フォアボールですよね。ああいうところからホームランが一番ダメなあれなんです」と一死から代打の桑原に与えた四球を悔やんだ。蝦名と筒香に浴びた一発は、いずれも梅野の構えたミットの反対側にいった逆球。風を味方につけるためには制球力が必須だった。 阪神が巨人と入れ替えで2位に転落し、横浜DeNAは、勝率5割復帰に王手をかけた。最下位のヤクルトまで6チームが4ゲーム差内でひしめく大混戦。 筒香が言う。 「表面上のことではなく間違いなくチーム力としての団結の勝利を全員が感じた」 個の能力が結集した時の横浜DeNAは怖い。 (文責・RONSPO編集部)
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