冬はディーゼル車の「軽油」が凍結する!? オーナーなら知っておきたい「原因」や「予防方法」、トラブル時の「対策」とは!
「気温5度」でクルマを動かせなくなるケースも
「水と油」という言葉があるように、この2つの液体は互いに混ざりにくい性質を持ちます。 一方で、水と油には共通点もあります。それは「凍ってしまう」ということ。 水はそれ自体が“氷点下”で凍り、油は種類と温度によって成分の一部が凍ります。 例えば食用油であれば、オリーブオイルは-4度から、ごま油は-6度から部分的に凍ると言われています。 では「クルマに使われる油」はどうなのでしょう。 主要な油である「ガソリン」などの燃料は凍ってしまうのでしょうか。 【画像】軽油の「凍結しやすさ」に地域差がある「理由」を画像で見る!(15枚)
結論から言えば、クルマの燃料は凍ります。 一般的な乗用車に使用されるガソリンは、-90度から-100度あたりが凍って固まってしまう凝固点となっています。 もっとも、この温度は南極で観測される最も低い気温と同程度なので、普通に日常生活を送っている限りは、ガソリンの凍結を心配する必要はないでしょう。 一方で、現実的に凍ってしまうケースが考えられるのが「軽油(ディーゼル燃料)」です。 日本で販売されている軽油は5種類の規格があり、「特1号」の流動点は5度。 つまり特1号が最も流動点が高い(凍りやすい)軽油となっています。 流動点とは、その液体が固まらず流れることができるギリギリの温度です。 軽油には、ワックスの働きをするパラフィンという成分が含まれていますが、このパラフィンは温度が下がると結晶となってしまうことが、軽油の流体としての動きを奪う原因です。 そして先ほど挙げた、“軽油の特1号の流動点が5度であること”を考えると、これでは夏場以外は使えないのでは、と思うでしょう。 その通りで、特1号が1年を通して供給・販売されている地域は、日本では沖縄県のみとなっています。 あとは地域ごと、月ごとに推奨される軽油を示す「軽油使用ガイドライン」が日本工業規格(JIS)で定められており、寒さの厳しい地域を例に挙げると、道南以外の北海道は7月~8月は「特1号」、5月~6月と9月~10月は「1号」、4月と11月が「2号」、12月は「3号」、1月~3月が「特3号」というのが、使用する軽油の目安となっています。 そして最も凍りにくい特3号の流動点は、-30度。 しかし、日本での観測史上、最も低い気温は-41度です。 これは明治時代の記録であり、近年の気候変動の環境下ではここまで下がることは考えづらいとはいえ、近い気温では軽油が凍ってしまう可能性はゼロではありません。 また、もしも特3号以外が使われる地域で平年以上の冷え込みとなってしまった場合、軽油が凍ってしまうことは十分考えられます。