【社説】韓国与党は原則と道理に基づき弾劾表決に臨むべき
与党の国民の力が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「秩序ある退陣」の道筋を立てられずにいる。最大野党の共に民主党が14日、2回目の大統領弾劾訴追案表決をすると予告した状態だが、国民の力は対応をめぐり重鎮議員も新人議員も右往左往している。昨日、非公開最高委員会議と非常議員総会、重鎮会合が相次いで開かれたが、いかなる結果も出なかった。 国民の力は7日の最初の弾劾案表決の前後に尹大統領の秩序ある退陣を進めるとし、任期短縮改憲や責任首相制度などの案を挙げた。しかし尹大統領の内乱罪容疑を狙った検察・警察の捜査が予想より早く進行し、雰囲気が慌ただしい。検察は尹大統領を内乱罪の被疑者として立件し、法務部は尹大統領に出国禁止措置を取った。司法処理が近づいたという信号弾だ。野党と場外勢力の圧力も強まっている。国民の力は14日の弾劾案投票までに具体的な退陣案を提示しなければならない状況に追い込まれた。 こうした中、国民の力は慢性的な派閥葛藤様相を見せ、退陣ロードマップの合意点を探せずにいる。与党が国民を説得する案を出せなければ、弾劾案投票で議員の参加を防ぐ名分が消える。たとえ退陣ロードマップが出てきても多数の国民が共感しなければ意味がない状況だ。 与党議員も尹大統領が深刻な問題を起こしたため大統領職の遂行がこれ以上は不可能だという事実をよく知っている。にもかかわらず民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表の選挙法裁判最終判決が出るまでどうにか時間を稼ごうとしている。前者が民主主義の原則に基づく判断なら、後者は政治的計算の領域だ。与党が2つの目標を同時に達成することは極めて難しいとみられる。事情をよく知る民主党も、与党がいかなる形態であれ時間を長引かせることに同意するはずがない。最大の弱点である司法リスクを一挙に払拭する絶好の機会をつかんだ李在明民主党代表は一日も早い大統領選挙を望んでいるはずだ。 民主主義の原則と政治的な計算が同行できないのなら、どちらを選択するべきなのか。民主共和国で国会議員が民主主義の原則を最優先にするというのは常識的な話だ。国民の力が数日以内に国民の考えを変えるほど画期的な案を出せなければ、14日の表決には参加するのが原則であり道理だ。7日の表決のように党論で投票不参加を強制しても、党の支持率を落とすだけでなく、離脱者を防ぐのも難しいだろう。一人一人が憲法機関である国会議員を党指導部が幼稚園児のように扱うのも見苦しい。国民の力は14日の表決を集団不参加で防いでも果たして国民が理解するだろうか。その後がどうなるかを慎重に判断する必要がある。その自信がないのなら、正々当々と本会議場に入って議員個人の良心に基づいて投票すればよい。