炎吹くインスタ映えスポット、火力自慢のドラゴン橋が人気 南シナ海望むベトナム中部ダナン、辰年に旅行客急増
大海原を望むベトナム中部の最大都市ダナンに、竜が南シナ海に飛び立つ姿を模した長さ666メートルの橋「ドラゴンブリッジ」がある。2013年の完成から写真やインスタグラム映えスポットとして国内外の人びとをひきつけている。週末の無料ショーで大きな炎と水を吐く姿は迫力満点。辰年の2024年、ダナンへの旅行客は竜が天に昇るかのごとく増えている。(共同通信ハノイ支局 松下圭吾) 市中心部と白い砂浜が続く海岸をつなぐ橋の正式名称は「ロン橋」で、事業費は1兆5千億ドン(約90億円)。黄色が基調の竜はハート形の愛らしい目をしており、どこかユーモラスだ。夜は胴体を含む橋を照らすライトが緑や白に色を変え、見物客を飽きさせない。 週末の午後9時前には片側3車線の道路が通行止めになり、ショー目当ての人で歩道や車道はごった返す。ショーは竜の口元から噴き出る火柱で始まる。数十メートル離れていても熱さを感じる火力で、観客からは悲鳴に近い歓声が上がり、ガソリンが燃えたような刺激臭と煙が広がった。
フィナーレは水の噴射だ。放水量は局所的に土砂降りの雨と同様の激しさに見え、目の前で待ち受けた人びとはずぶぬれ状態になっていた。「お祭りみたいだね」「想像以上だ」といった会話がそこかしこで聞こえた。 旅行で訪れた40代の日本人女性は、将棋の対局でダナンを昨年訪れた藤井聡太七冠が橋へ足を運んでいたのが印象的で訪問したと明かした。「辰年ということもあり、見に来た。蒸し暑いから水は歓迎だと思ったけど、傘を持ってきた方が良かった」とぬれた髪をなでて苦笑した。 ダナンは新型コロナウイルス禍で訪問者数が激減し、2021年には前年の半分以下の約117万人になった。ただ地元紙によると、2024年は9月までに約870万人が訪れた。市当局者は「橋は街のシンボルだ。旅行者数が今後も増えてほしい」と期待した。