新型BYDシールはクルマとしての完成度が驚くほど高かった! 中国からやってきた新しいプレミアムセダンの実力に迫る
中国のBYDが日本へ導入する新型「シール」に、世良耕太が試乗した。ライバルと較べても遜色ない最新セダンに迫る! 【写真を見る】新型シールの内外装(16枚)クオリティの高いインテリアが機能的だ!
「これがおなじBYDのクルマ?」
BYDの新型シールは、コンパクトSUVの「アットスリー(ATTO 3)」、さらにコンパクトなサイズの「ドルフィン(DOLPHINE)」に次ぐ、BYD Auto Japanが日本に正規輸入するモデルの第3弾で、セダンタイプの電気自動車(BEV)だ。2022年にBYDの本拠地がある中国でローンチして以来、グローバルでの販売実績は23万台を超える。 シールはアザラシの意味で、ドルフィン(イルカ)と同様、BYDの海洋シリーズに属する。フロントバンパーサイド部のC字型ラインを反復させたイルミネーションは、海の波をイメージ。リヤの左右貫通式テールライトは空と海の広大さを表現しているという。 海や海洋生物をイメージしているとはいうものの、イルカのヒレを模したインナードアハンドルを採用したドルフィンほど、海洋生物のイメージをダイレクトには造形に落とし込んでいない。それに、ドルフィンのインテリアは有機的な造形とカラフルな色使いで「夢の国のアトラクション施設に迷い込んだ?」と、錯覚させるようなところがあるものの、シールのインテリアはオーセンティック。 ポップなインテリアだけでなく、シックなインテリアだってできるんだぞ! と、見せつけられた。海洋シリーズではないもののドルフィンと同様にポップな路線のアットスリーも含め、国内導入済みの2車種からBYDのイメージを築き上げてしまうと、雰囲気が大きく異なるシールに打ちのめされることになる。「これがおなじBYDのクルマ?」と。 全長4800mm、全幅1875mmのシールは国内輸入車マーケットのDセグメントに属する。同セグメントに属するのは、おなじBEVではテスラ「モデル3」、内燃機関を積んだモデルではBMW「3シリーズ」、メルセデス・ベンツ「Cクラス」、アウディ「A4」などがある。国産ではトヨタ「クラウンシリーズ」との競合が予想される。つまり激戦区だ。個性派ぞろいのDセグメントに放り込んでも、アルファロメオやアウディで辣腕をふるったデザイナー、ヴォルフガング・エッガーがデザインを手がけたシールは埋没しない。どのブランドのクルマにも似ていないし、個性的で、流麗であり美しい。 運転席・助手席ともにベンチレーションとヒーターを装備したパワーシートは、ダイヤモンドパターンを刻んだナッパレザーを使う。前席もラグジュアリーなムードがいっぱいで居心地はいいが、後席にも座りたくなる。 広々としているのはもちろん、パノラミックガラスルーフの恩恵で眺めが良い。1.9㎡の面積を持つ二重構造のガラスルーフがはめ込まれているおかげで、空が視界に入る。都会を走ればビルの谷間を縫うダイナミックな景色が楽しめるし、山を走れば木々が目に飛び込む。紫外線カット率は99%、可視光線透過率は4.2%、日射透過率は16%だ。6月中旬での短時間の試乗だったが、室内は強力なエアコンのおかげで快適な環境に保たれていた。