PE投資でたやすく稼げる時代、終わった-ゴールドマンが新たな道
「最高額で落札して会社を買い、会社のバリュエーションが上がるのを待ち、売る」というやり方は、もうできない。リミテッドパートナー(LP)と呼ばれるファンドの投資家は、最近の案件の数値を調べてどのファンドが収益を拡大させることで高いリターンを得たのか、誰が財務上の奇策に頼ったのかを探っている。
「大口のLPは何社かの名前を頭に浮かべている。評価の高い企業もあれば、そうでない企業もある」とナックマン氏は述べた。
アポロ・グローバル・マネジメントの最高幹部の一人であるスコット・クラインマン氏も、今月開かれたある会合で同じような論調を展開。「全てがうまくいくわけではない」と警告し、多くの場合市場の高揚感やバリュエーションの上昇、金融工学に後押しされていた2022年までのようなバイアウトのリターンを期待すべきではないと主張した。
年金基金や大学の寄付基金、政府系ファンドなどの投資家を満足させるための指標となるのが分配金だ。分配金は現在、過去10年間の最低水準で推移しており、機関投資家顧客の中には自らの使命を果たすために必要な資金や、新たな投資ファンドへのコミットメント資金に窮しているところもある。
ゴールドマンが保有するオルタナティブ資産の規模は最大級であるにもかかわらず、この業界の重要なプレーヤーと見なされることは少ない。投資銀行業務の方が注目度が高い。
しかし、ゴールドマンは長年、企業とその業務分野に精通したアドバイザーを組み合わせることに力を注ぎ、著名企業の幹部を起用してきた。PE投資で今後、より高いリターンを得るには、良い案件を発掘し業務の改善に注力することが重要だとナックマン氏は話した。
アダムチック氏は17年から23年までハネウェルのCEOを務めた。在任中に同氏はゴールドマンとの関係を強化した。デービッド・ソロモンCEOとジョン・ウォルドロン最高執行責任者(COO)はアダムチック氏を友人とみている。