PE投資でたやすく稼げる時代、終わった-ゴールドマンが新たな道
(ブルームバーグ): プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資でたやすく稼げる時代は終わり、ゴールドマン・サックス・グループはより困難な仕事に取り組もうとしている。
これが、同社の資金運用部門トップ、マーク・ナックマン氏からのメッセージだ。企業買収ビジネスが決定的な曲がり角を曲がったという業界トップらの声に加わった形だ。金融工学と「バリュエーション拡大」による利益の時代は終わったと、ナックマン氏はインタビューで語った。
「リターンの源泉は今後、より高い利益成長を実現することになる」というのが同氏の見立てだ。
ゴールドマンはそのために、ハネウェル・インターナショナルの元トップであるダリウス・アダムチック氏を採用し、提携する投資先企業の経営立て直しを支援するため送り込もうとしている。知名度の高いアドバイザーを獲得することで知られるゴールドマンでも、58歳の巨大コングロマリット元最高経営責任者(CEO)を採用するのは普通とは言い難い。
ナックマン氏はアダムチック氏について、「引退したCEOとしてはかなり若い。成功したCEOであり、本気で企業を支援したいと思っている」と話した。
ゴールドマンの資産運用部門は約1400億ドル(約22兆5000億円)のPE資産を監督し、300社以上の投資先企業を傘下に収めている。
PE投資業界は、2008年以降の超低金利に助けられた長い黄金期を終えようとしている。金利上昇という「ニューノーマル」は、買収コストを押し上げ、バリュエーションを低下させ、投資先企業の売却で魅力的なリターンを得ることを難しくしている。
少なくとも、投資先企業の業績を根本的に改善させない限りは無理だ。半世紀前のPE先駆者たちは実際、企業の立て直しが使命だとうたっていた。
現在のPEファンドの投資家たちは、不安と焦りを募らせている。ナックマン氏によれば、資金を集めた後はじっと座って利益が転がり込んでくるのを待っているのではもうファンドは運営できない。