約4億円、1900馬力のパワーに悶絶!! ピニンファリーナの市販第1号車「バッティスタ」がスゴすぎた!
フェラーリをはじめとしたカーデザインで有名なイタリアの名門カロッツエリア、ピニンファリーナの市販第1号が完成し、先日、日本に上陸した。1900馬力のパワーを持つ「バッティスタ」とは一体どんなクルマなのか? モータージャーナリストの小川フミオが試乗した。 【写真】超弩級! ピニンファリーナ「バッティスタ」の詳細を見る(全14枚)
ハイパーGT、バッティスタとは何者か?
クルマ好きならよく知っている(と思う)ピニンファリーナ。クルマづくりを手がけ、ついに市販第1号の「バッティスタ」が完成し、2024年5月には東京でもお披露目が行われた。さらに、1900馬力のこのクルマを箱根で試乗する機会まで! 乗ってみるとすごいのひとことに尽きるハイパー(超高性能)GTだった。 ピニンファリーナといえば、カロッツェリア(車体製造者)として、クルマ好きにはよく知られた存在。かつては世界中のメーカーがデザインを依頼していたといってもいいほど、美しいクルマといえばピニンファリーナというのが、クルマづくりの”定石”だった。 しかし、2000年代になると、トレンドが大きく変化。先進技術の進化にともない、秘密保持の目的からもメーカー各社は、外部にデザインを出さず、社内のデザイン部を強化して、いわゆるインハウスデザインの方向へと舵を切るようになっていった。 かつては、数多くあったイタリアのカロッツェリアのなかでも、ほぼ唯一といっていい生き残りのピニンファリーナは、上記のトレンドに危惧を抱き、メーカーからの受注に加え、プレミアムなクルマづくりをグループの大きな柱にする方針を打ち出した。 従来どおり、デザインなどB2BのビジネスはピニンファリーナSpAが行い、別会社として、アウトモービリ・ピニンファリーナが設立され、クルマづくりを手がけるようになったのだ。
0-100km/h加速は、たったの1.86秒!
「クルマを手がけるのは、今回の車名にもなっている創業者、バッティスタ・ファリーナの夢でもありました」。東京での発表会において、アウトモービリ・ピニンファリーナのパオロ・デラッチャCEOはそう語った。 ちなみに、ピニンとは、バッティスタ・ファリーナのニックネームで、当初の社名もカロッツェリア・ピニン・ファリーナ。1961年からは現在と同じピニンファリーナの一語になり、同時に一族の姓もファリーナからピニンファリーナになった。 アウトモービリ・ピニンファリーナが作るバッティスタは、画期的なスーパースポーツカーだ。各輪がモーターで駆動される方式で、出力は先述のとおり、驚異的な1900馬力。静止から時速100kmまでの加速がわずか1.86秒というから、たまげる。 実際に、驚くほどの加速と、レーシングカーなみのコーナリング性能とロードホールディング性能を味わわせてくれた。試乗コースは、高速コーナーがいくつもある箱根ターンパイク。貸し切りにしての試乗だった。 前からクルマがやってこないとわかっているので、対向車線を使ってまでの大胆なコーナリングが出来たことに、私は感心してしまったが、それより、ジェットエンジンを搭載しているんじゃないかというぐらいの加速性能と、4輪の駆動力を適切に制御する全輪駆動のEVのポテンシャルは感動ものだった。 加速Gによって身体がシートに押しつけられそうになるスピード域でも、車内の静粛性は高い。それが非現実な体験だ。カーボンファイバー製のシャシーの底面に、道路の砂利が跳ねて当たる「プチプチ」という音だけが聞こえてくる。