「40代の地方生活」「地元でプチ移住」 泊まって分かる田舎暮らしのリアル
夢を現実にした40代夫妻のケース
一方で、『class vesso』の顧客には、既に都会からの移住を決め、土地の購入と建物選びまで具体化させている人たちもいる。東京で共働き中の40代後半のAさんご夫妻もその一組。既に提携する不動産会社を通じて御代田町内に土地を取得済みだ。そこは『class vesso』から車で10分足らずの国道から少し入った閑静な住宅地の一角で、駅やスーパー、コンビニから徒歩圏内。もともとは別荘地として開発された地域だといい、都会からの移住者も多い。来春竣工予定の家は、『class vesso』の体験型別荘の一つに近い平屋建て。木立の中にある静寂な環境と利便性が同居した、夫妻の理想と現実がマッチした選択だ。 地方出身のAさんご夫妻は、もともと「東京は仕事のために住む場所」と割りきっていて、若いころから田舎暮らしを意識していた。「早期退職」という言葉もちらつくようになった数年前から具体的な検討を始め、東京の郊外住宅地にある急な階段がある一軒家から、縁もゆかりもなかった御代田町の平屋建てに移る決心をした。いずれは完全移住を果たすつもりで、当面は週末移住、あるいは状況が許せば「新幹線通勤もあるかも」という。 そんなAさんご夫妻の選択は、おもに以下のような希望と条件を集約した結果だ。 ・自然が豊かで夏涼しいところ。 ・もともとは、ご主人に土地勘があった軽井沢の追分エリアが有力候補だった(同じ軽井沢町内でも旧軽井沢などの高級別荘地に比べれば割安で「穴場」だと思ったため)。そして、現地を見学した際に、追分のすぐ隣の御代田町に行けばさらにグッと土地の価格が下がることが判明。一気に夢が現実に近づいた。 ・東京の家は階段が急で老後に不安があり、平屋建ての一軒家を希望。2階建てと比べてかえって割高との情報も得ていたが、『class vesso』の家を見学した流れで、予算内で希望の間取りの平屋が建てられるめどがついた。 ・新幹線通勤も可能な立地で、なおかつ希望していた「木立の中の家」が建てられる土地が実際に御代田町内に見つかった。 若い世代は、理想的な田舎暮らしを実現できるのは、富裕層やリタイア組だけだとあきらめているかもしれない。しかし、Aさん夫妻のように現実としっかり照らし合わせながら、リタイア前に夢を実現する人たちも着実に出てきている。受け入れる側のビジネスチャンスという意味でも、いたずらに流行を煽るのではなく、現実的な視点で田舎暮らしを応援できるアプローチが、求められているのではないだろうか。
------------------------------------- ■内村コースケ(うちむら・こうすけ) 1970年生まれ。子供時代をビルマ(現ミャンマー)、カナダ、イギリスで過ごし、早稲田大学第一文学部卒業後、中日新聞(東京新聞)で記者とカメラマンをそれぞれ経験。フリーに転身後、愛犬と共に東京から八ヶ岳山麓に移住。「書けて撮れる」フォトジャーナリストとして、「犬」「田舎暮らし」「帰国子女」などをテーマに活動中