館内や展示物を報道公開 オープンまで1カ月・徳之島世界遺産センター
12月22日の運用開始を控えた徳之島世界遺産センター(鹿児島県徳之島町花徳)の報道関係者向け内覧会が22日にあった。徳之島の豊かな生態系や世界自然遺産の概要について学べるパネル、ジオラマなどの展示物のほか、自然遺産エリアを含む山々を眺めながらくつろげるスペースなどを公開した。 施設のコンセプトは「徳之島リビングミュージアム」。世界遺産としての価値である徳之島の生物多様性や雄大な自然の魅力を学べるだけでなく、訪れる人々がくつろげる空間を目指した。
展示スペースには世界自然遺産の概要や徳之島の地形などについて学べるパネルのほか、2基ある86インチのモニターでは徳之島の森や海の風景が360度自由に観賞できたり、画像の中にいる生き物を探せたりする機能などを楽しめる。 約150種の動植物の剥製やレプリカを配置したジオラマは「谷沿いの森」「尾根沿いの森」と生物の生態別に2基を用意。ハブとにらみ合うトクノシマトゲネズミなど生物同士のつながりや営みが感じられるように趣向を凝らした。
施設のコンセプトであるリビングミュージアムを象徴するのは全面高さ4メートルのガラス張りにした建物北側のスペース。ソファーでくつろぎながら世界自然遺産エリアを擁する三方通岳(さそんつじだけ)=496・5メートル=などの山々が一望できる。 環境省徳之島管理官事務所の大谷慧所長は「啓蒙(けいもう)的でなく、くつろぎながら生物多様性の価値を楽しめる施設を目指している」と施設について説明し、「道の駅も隣接しているので世界自然遺産目当てでない方々にも自然と足を運んでもらえたら」と期待を込めた。 同施設は木造平屋建てで延べ床面積は449・78平方メートル。環境省が総事業費8億2850万円をかけて整備した。展示スペースのほか、トイレ、キッズスペースなども用意。管理運営は同センター管理運営協議会が担い、島内3町の職員各1人と専門スタッフ2人の計5人が常駐する。 同施設は島を横断する県道伊仙亀津徳之島空港線沿いにあり、徳之島空港(天城町)と亀徳新港(徳之島町)や、島北部と南部に分かれた遺産エリアにもアクセスしやすい立地となっている。隣地には徳之島町が観光拠点施設「道の駅とくのしま」を整備中で、12月15日~17日にプレオープンイベントを予定している。