谷原章介さん、毎日の司会業を続けながら舞台の主演ってハード過ぎませんか?
わかりやすいものや効率よく手に入るものは深みがないし、結局浅い
── 朝の帯番組を担当することで時間を多く費やし、そのぶん役者の仕事が制限されることについてはどう思っていますか? 谷原 そこは、この仕事を選択した時点で気持ちの整理をつけていますので。「めざまし8」をやったらドラマや映画の仕事をするのは厳しくなるけれど、それでもやろうと決めたので、映像の仕事がなかなかできないのは仕方がないです。舞台であってもスケジュール的にはホントに大変ですけど、頑張ればなんとかやりきることができます。 ── 毎日の打ち合わせや情報のインプット、自分の考えをまとめたり、読みたい本を読んだりする時間はどう作っているのですか? 時間の使い方もお上手なんでしょうね。 谷原 日々、クルマの移動中や隙間時間に新聞をチェックしたり、ネットの情報も見ています。それ以前に、司会を長年やる中で、いつか帯番組の司会をやってみたいという思いはあったので、「めざまし8」が決まる前から、社会的な課題や政治の問題、制度のあり方などについて自分の中で少しずつ考えを深めるなどの準備はしていました。 時間の使い方ということでは、確かに僕は効率よくいろんなことをやるんです。煮込み料理を作りながら本を読んだり、本を読みながら筋トレしたり、ドラマの撮影中もセットのどこかに本を置いておいて、自分の出番が済んだら手に取ったり。 でもそれは、はやりのタイパとは違うもので。わかりやすいものや効率よく手に入るものは深みがないし、得られるものも結局浅いものだと僕は思っています。非効率な中でもがきながら、考えて考えて時間を使うことが自分を成長させる大きな糧となるし、その過程で理解も深まるんじゃないのかなと思います。
── そうした真面目さも谷原さんの信頼の厚さにつながっているのだと思いますが、世間一般が谷原さんに対して抱く“誠実で家族思いの良き夫で父親“というパブリックイメージをご自身はどうとらえていますか? 谷原 パブリックイメージって難しいなと思うのが、とても大事であると同時に、それに縛られてもいけないということで。自分から壊しにいったり、変に裏切るために何かを選ぶことはしませんが、僕はこういう風に見られているからこういう仕事はしない、という判断もしたくないですね。 そして、そういったパブリックイメージを守るのであれば、表面上ではなく、人が見ていようがいまいが信頼に値する行動をしたいと思います。そうでないと、外面だけ作っていたっていつか中身が透けてきますから。 ── 常に次の目標のための準備をし、努力を積み重ねてこられた谷原さんですが、この先も具体的なビジョンをお持ちですか? 谷原 仕事というより、人生の時間の使い方に関してですよね。今、いちばん下の子供が8歳なので、あと12年、その子が20歳になるまでは頑張らなきゃいけないと思いますが、いつまでこのペースで仕事をするのか。1年365日のうち、今は仕事に使う時間の比重があまりにも大きいので、いずれ仕事の絞り方を考えたいですし、夫婦2人で暮らしていくうえで必要なお金を稼ぐための仕事は、もしかしたら今とは違う仕事かもしれません。 ただ、今やらせていただいている「めざまし8」は自分にとってひとつの集大成ですし、30代、 40代で積み重ねてきたことの結果がこの50代に出るのであれば、それを継続するための努力はし続けなければいけないとは思います。