谷原章介さん、毎日の司会業を続けながら舞台の主演ってハード過ぎませんか?
多忙な中での稽古は辛いけれど、せめて年に1回は舞台をやりたい
── 「めざまし8」を始められて、ご自身にはどんな変化がありましたか? 谷原 生活を始め、いろんなことが大きく変わりました。これは仕方のないことですが、まず生活のペースが家族と合わない。そして番組が始まった2021年3月はちょうどコロナ禍で、人間関係のあり方や感染症に対する意識が家族の中でもガラリと変わり、僕と家族の距離感も変わりました。 番組が始まってからのこの3年弱は、子供たちがちょうど中学生になって反抗期に突入したり、受験があったりした時期でもあって、妻をはじめ家族に本当に負担をかけました。どう落ち着ければいいのか、どう収めればいいのかと試行錯誤の日々が続いて、いろんなことがようやく収まったかなと感じたのが去年の年末ぐらい。 ですから、この舞台の原作本を最初にいただいて読んだ時にはかなり胸に迫るものがあって、自分の夫婦関係のあり方や、妻への接し方を真剣に顧みずにはいられなかった。外面がいい自分の内面が透けてしまいそうで怖いというのは、シャレではなく本当にそう思っている部分もあるし、今回の舞台には、今までの経験がいろんなところで出てきそうだなと思います。 ── 多忙な中でも、ここ数年はほぼ毎年舞台に立たれています。舞台出演にはどのような思いがあるのでしょうか。 谷原 映像は瞬発力を求められる面白さがある反面、台本は1回撮影したら終わりで、やり直しがきかないぶん消化不良が残ります。けれど舞台なら、稽古場で何十回、何百回と同じ芝居を繰り返すことができますし、本番で今日失敗したセリフや芝居にも、次の日もう1回挑戦できる。 そして何十回、何百回と同じ芝居をしていると、最初に思っていたイメージとは違う、思いもよらない解釈が生まれるなど、発見し続けることができます。それは自分の中に役者としての蓄積や栄養をくれる作業なんです。 確かに多忙な中での稽古は辛いけれど、自分の軸が役者だと考えた時に、せめて年に1回は舞台をやりたいなと考えています。映像もやりたいですけど、今はそこまでの元気がなく、よほどスケジュールがうまくいかない限り難しいです。