世界の映画祭に引っ張りだこの『私の男』 注目されるその理由は!?
浅野忠信、二階堂ふみ主演の映画『私の男』(6月14日公開)がヨーロッパの主要映画祭の1つ、第62回サン・セバスチャン国際映画祭(9月19日~9月27日)のサバルテギ部門、そしてアジア最大級の映画祭第19回釜山国際映画祭(10月2日~11日)に『アジア映画の顔』部門の正式出品が決定した。同作品は、モスクワ国際映画祭コンペティション部門に日本から唯一の出品となっており 、第13回ニューヨーク・アジア映画祭ではヒロインを演じた二階堂ふみが『ライジング・スター・アワード』を受賞しているなど、世界各国の映画祭から注目を集めている。 なぜ、本作が世界から注目されるのか。映画祭『東京FILMEX』を立ち上げた市山尚三さんは、「すばり『出来がいい』からです。ロシア(モスクワIFF)、北米(NYAFF)、スペイン(サン・セバスチャン)、韓国(釜山)と、世界のどこでも通用する映画なんです。物語に力強さがあるから、ほかの映画と比べて世界の映画人に響いた、ということでしょう」と分析する。 また、本作は、近年の日本映画にはない正攻法で物語を丁寧にしっかり描いているところも、魅力の1つだという。「特にモスクワ国際映画祭は、近年のコンペティション部門のラインナップを見ても、クオリティ重視であることが分かります。熊切監督作品はこれまでも数々の映画祭に招待されてきましたが、『私の男』は今までの作品と違い、スケールの大きい世界観を堂々と描いています。それが世界からの評価につながっていると思います。他作品と比べてアタマひとつ抜けている印象を持っていますね」と市山さん。 さらに、多くの映画監督からも評価が高い。真利子哲也氏は「試写で観た『私の男』が凄かった。一口で言えないけど、どうしたらあんな腹を決めて勝負できるのかと考えたけど、熊切監督やキャストだけじゃなく、関わったスタッフ全員がすげえんだなこの映画、と。圧巻でした!」。白石和彌氏は「剥き出しになった男と女を覗き見てしまうと、禁断とか宿命とかの言葉が安っぽく感じる。同じ北海道出身監督として、雪原の匂いをここまで切り取る熊切監督に嫉妬した」と絶賛している。 『私の男』は、桜庭一樹の50万部超のベストセラー小説『私の男』の映画化で、同作品は第138回直木賞を受賞している。10歳で孤児となった少女・花が、遠縁にあたる青年・淳悟に引き取られ、共同生活を送る中で、理屈を超えた禁断の愛を育んでいくというストーリー。 ■サン・セバスティアン国際映画祭 スペインのサン・セバスチャンで開催される、ヨーロッパにおいてカンヌ、ベルリン、ヴェネチアについで重要な映画祭。2013年日本から、宮崎駿監督の「風立ちぬ」や朝原雄三監督の「武士の献立」、寺本幸代監督の「ドラえもん のび太のひみつ道具博物館」、今敏監督のパプリカ」などが正式出品され、是枝裕和監督の「そして父になる」が観客賞を受賞し、日本映画が大きな注目を集めた。 ■釜山国際映画祭 大韓民国の釜山で開催される、世界中から注目を集めるアジア最大級の映画祭。昨年2013年、同部門「アジア映画の窓」部門では、是枝裕和監督の『そして父になる』などが出品されている。 映画『私の男』 監督:熊切和嘉 原作:桜庭一樹「私の男」(文春文庫刊) 出演:浅野忠信、二階堂ふみ、高良健吾、藤竜也 (C)2014「私の男」製作委員会