まさにRPGの完成型…ファミコン版『ドラクエ3』が導入した「画期的システム」を振り返る
■昼と夜の表現
『ドラクエ3』にはこれまでのゲームにはなかった斬新なアイデアが取り入れられた。それがこの昼と夜の表現である。これまでのゲームは常に昼であり、夜になることはなかった。それがこの作品から昼と夜が登場し、ゲーム内に時間の概念が生まれることで一気にリアル感が増した。 昼と夜で異なるセリフをしゃべる町の人や、夜にならないと行けない場所、昼と夜とで違う敵が登場するなど、さまざまな面で昼と夜の違いを明確に感じることができ、ファミコンの少ない容量で、よくこれだけの表現ができたものだと感心するのである。 容量の都合でいろんなところを削っており、ファミコン版『ドラクエ3』ではオープニングすらも削られていたが、昼と夜の概念は残っている。 個人的推測だが、エンディングを迎えたとき、常に夜だったアレフガルドが昼になるという演出がある。その演出のために昼と夜の概念を残す必要があったのではないか。もしかしたら、アッサラームのぱふぱふイベントのためだったかもしれないが……。
■4人パーティで隊列を表現
ドラクエは『1』では1人旅であったが、『2』では3人旅となり、『3』では4人での旅になった。パーティ戦闘自体は『3』が初めてではないものの、『3』から画期的なシステムが導入されていた。それが4人パーティで隊列を表現したということだ。 どういうことかというと、『2』では、敵が攻撃してくるキャラは完全にランダムであったが、『3』では先頭のキャラほど狙われやすく、一番後ろのキャラほど敵に狙われにくいという仕様になったのだ。 これにより耐久力のある戦士や勇者に隊列の1番目や2番目を任せ、敵の攻撃を耐えながら、4番目に打たれ弱い魔法使いを配置して呪文で攻撃するという作戦が成立するようになった。 並び順で敵からの狙われやすさを変えることによって、前衛向きのタイプと後衛向きのタイプというキャラの個性を引き立たせることができるようになった。 敵によっては隊列に関係なくランダムに攻撃を仕掛けてくる敵もいるので、必ずしも後列が安全というわけではない。だが隊列の要素により、僧侶や魔法使いは後ろに、重厚な鎧などを装備する戦士を前にといった、実際にパーティが戦っていることがなんとなく想像できた。あまり触れられることはないが『3』から採用された画期的なシステムと言っていいだろう。 ストーリーといい、システムといい、音楽といい、まさにRPGがひとつの完成形を迎えた作品がこの『ドラクエ3』だったと言っても過言ではない。
ふたまん+編集部