京都に引っ越してすぐ、近所の人に言われた「これだけは気をつけて」 街に点在する赤いバケツの謎
大都市での火災、京都は全国最少
実際に、京都の火災の現状はどうなっているのでしょうか。全国20の政令指定都市と東京23区の、人口1万人あたりの火災件数の統計を調べると、京都市は2023年に1.6件で全国最少でした。福岡市が1.8件、静岡市と広島市が1.9件と続きます。同じ統計で過去10年間を調べても、京都市は1.4~1.7件で、全国最少レベルでした。 山崎教授には京都市民の防火意識の高さを感じた「実体験」もあるといいます。30年ほど前、京都に引っ越したときのこと。入居後すぐに近隣住民が訪ねてきて「火事だけは起こさないでください」と強く言われたそうです。ただ、その後、料理中に鍋から煙がもくもくと立ちのぼり、すぐに消し止めるという〝ぼや〟を起こしてしまいました。すぐに近隣住民が駆けつけ、「火事ですか?」。住民はバケツを手に持っていたとのこと。 連綿と続く消火への意識。赤いバケツをつかった消火訓練はいまも実施されているそうです。山崎教授は「地域ぐるみの防火・防災は、災害の多い日本全体で考えなければいけない。京都の歴史や、いまも続く消火への意識から学べることは多いはずです」と話しています。