【海外トピックス】メルセデス・ベンツの利益半減、VWはドイツ3工場を閉鎖の衝撃度
高級EVはどこも大苦戦、ポルシェタイカンの販売はなんと50%減
メルセデスと同日に第3四半期の決算を発表したポルシェも、売上高(286億ユーロ。前年同期比-7%)、販売台数(226,026台 同-7%)ともにマイナスで、営業利益(40.4億ユーロ)は前年同期を-29%下回りました。アナリストと電話会見したCFOのルッツ・メシュケ氏は、今年は5モデルが新型にチェンジする切り替えの年であり、昨年末モデルチェンジしたカイエンは好調で、第4四半期にGTSのデリバリーが始まるスポーツカー911も期待できると語りましたが、アナリストの質問は1~9月で14,042 台(前年同期比-50%)と販売台数を大きく落としたEVのタイカンや、欧州ではEVのみとなった新型マカンの販売動向(1~9月-20%)などに集中しました。 特に、タイカンは4月の北京モーターショーで100万元を切るエントリーモデルを発表してテコ入れしたにも関わらず、9月の中国の販売台数はわずか23台と独ハンデルスブラット紙は報じており、「高級EV市場はどのブランドも大苦戦している」とメシュケCFOも認めました。一方、中国ブランドでは、携帯電話や家電メーカーであるシャオミ(Xiaomi)が今春発売したスポーツセダンのSU7が、性能はタイカンと同等で価格は4分の1の21万9900元(440万円)からで月販1万台以上売れており、今年12万台の目標は達成しそうです。 4月の北京モーターショーで以前自動車メディアの編集者だった30代の起業家から聞いたのは、「EVに40万元(800万円)以上出す気がしない」「EVでは中国ブランド車の方が輸入ブランドよりコスパが高いと消費者は思っている」という声でした。一方で、フォードの高級ブランド「リンカーン」のV6 3.5Lターボエンジンを搭載した全長5.6mの大型SUV「ナビゲーター」は100万元(2000万円)を優に超える価格で売れており、EVの価格で太刀打ちできない高級輸入ブランドは、今後ニッチになる高額なエンジン車しか残らないのではないかと思うほどです。ポルシェの中国での1~9月の販売は43,280 台(-29%)で、メシュケCFOは、現在の年10万台の販売を想定した中国の輸入・販売ネットワークは、「大幅に縮小せざるを得ない」と回答しました。 ポルシェは、2026年までに営業利益率20%という目標がありますが、昨年18%だったものが今期は14~15%まで低下する見込みで、販売台数が伸び悩む中でコストダウンだけで目標の利益率を達成できるのか、もっと根本的な構造改革が必要ではという厳しい質問が飛んでいました。