日本人は遺伝子的に牛乳が合わない!?「お腹がゴロゴロしない」次世代牛乳A2ミルクがやっと日本でも
海外から広まり、日本でも注目され始めている「A2ミルク」
牛乳を飲むとお腹が痛くなる、下痢になりやすいという理由から、飲むのを避けたり飲むタイミングに気をつかったりしたことはないだろうか。そんな“牛乳が合わない”と思っている人に朗報となるのが、お腹にやさしい次世代牛乳として注目されている「A2ミルク」だ。 肛門を石けんで洗うのはNG、ウォシュレット「強」はダメ…「肛門トラブル」間違いだらけのケアに注意 「A2ミルクは、ニュージーランドやオーストラリアなどの海外では20年以上前から広まり、日本でも徐々に需要が高まっています」 と話すのは、’19年からA2ミルクの研究に携わる、東京農業大学の庫本高志教授。 「A2ミルクと通常の牛乳との違いは、牛乳に含まれるたんぱく質の一種、βカゼインの種類です。βカゼインは牛の個体が持っている遺伝子で決まり、『A1型』と『A2型』が存在します。 普通の牧場では、A1の牛、A1A2の牛、A2の牛が混在して飼育されています。そのためそこで搾られた牛乳は、A1型とA2型のβカゼインが混ざっています。これが一般的な牛乳です。 遺伝子がA2の牛のみから搾られた牛乳は、A2型のβカゼインだけを含んでいます。これを『A2ミルク』といいます。 A1型・A2型というと難しいですが、人間の血液型に、A型やB型、AB型があるのと同じイメージです」 つまり、純粋なA2の牛だけから絞った牛乳が、「A2ミルク」というわけだ。元来、牛乳のβカゼインはすべてA2型だったが、牛を家畜化する過程で遺伝子が変異して、A1型のβカゼインが生まれた。これが、ホルスタイン種を中心にさまざまな乳用種に広がっていったと推測されている。 ◆遺伝子で判断すると、日本人のほとんどが「乳糖不耐症」予備軍 牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、下痢になったりする症状を「乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)」という。これは、牛乳に含まれる乳糖を分解する「ラクターゼ」という乳糖分解酵素の活性が低下し、うまく消化吸収ができないことで起こる症状だ。 「消化不良を起こす原因の一つと考えられているのが、A1型のβカゼインです。A1型とA2型では、βカゼインを構成する209個のアミノ酸のうち67番目のアミノ酸が異なります。たった一つのアミノ酸の違いなのですが、A1型のβカゼインだけがお腹の不快感につながるといわれています」