「スポーツ」は“楽器”に近い?落合陽一の持論に元陸上競技選手・為末大も納得
TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。2月13日(火)のお客様は、元陸上競技選手・為末大さんと常連客・落合陽一さん。ここでは、「スポーツと楽器」の関係について落合さんが持論を展開しました。
◆楽器とスポーツは近い?
落合:僕はスポーツと楽器はすごく近いと思っているんです。というのも、音楽を作るための楽器はスポーツと同じぐらいルールがないから。 共通の友人の遠藤謙さん(義足エンジニア)と、乙武(洋匡)さんが(義足で)歩くプロジェクト「OTOTAKE PROJECT」をやっていて、僕はそのプロジェクト全体の研究代表だったんですけど、最後、国立競技場で(乙武さんが)歩いたときに、歩くだけでみんなが喜んで手拍子を始めるんですよ。それを見て“これは楽器かもしれない”って思って。 為末:うん。 落合:例えば駅伝でも、走っている選手に「がんばれ~!」なんて言いながら手を叩いているだけで、けっこう楽しい。しかもリズムがわりと一様なので、楽器的な側面も強いというか、応援歌なんかを歌わなくても、パチパチしているだけで楽しいっていうのは、すごく楽器的でもあるなと。 それと同時に“トライ&エラーがなく楽器を弾いていい時間が過ごせる”っていうのは、スポーツ的でもあるかなと思って。 為末:我々の世界でいうと、走っていると横の人に走りが伝播する「同調現象」っていう研究があって。いろんな場面で確認されるんですけど、その一番の最高峰は、ウサイン・ボルトが優勝した世界陸上ベルリン(2009)の100m決勝で、2着のタイソン・ゲイが引き込まれて同調するんですよ。 そういう意味では、人間は自律的に走ったところで(記録は)出ないんじゃないかと。やっぱり、その周辺で動いている“揺らぎ”みたいなものに、自分の走りも影響されていくことで(良い記録が出る)。落合さんの例えでいくと、ある種“戦っていながら”セッションしているみたいな。 落合:戦っていながらにして音楽的である、本当にそうですね。 (TOKYO FM「TOKYO SPEAKEASY」2024年2月13日(火)放送より)