M-1に影響を与えた「意外なお笑い番組」ノンスタ石田の分析がなるほど納得だった!
こうして“超多様”大会っぷりが加速しているのがM-1の現在やと思います。 ● たくわえた脂肪を見せる「THE SECOND」 「THE MANZAI」といえば、同じフジテレビで2023年に始まった「THE SECOND」にも触れておきます。 「THE SECOND」の出場資格は、「結成16年以上」「全国ネットの漫才賞レース番組で優勝していない」の2つです。「結成15年以内」が条件のM-1に出場できなくなったコンビにセカンドチャンスを、というコンセプトで始まった大会ですが、個人的には「結成20年以上」としたほうが、いい大会になるんちゃうかなと思っています。 「THE SECOND」の醍醐味って、それぞれのコンビが年月を積み重ねて蓄積してきたものを見せるところやと思うんですね。 M-1が鍛え抜かれた筋肉を競うボディビル大会やとしたら、「THE SECOND」は、こてこてに肥大した脂肪肝を見せ合うメタボ大会なんです。自分たちの前に出たコンビをいじるとか、M-1やったらNGとされる技も飛び出します。 だけど出場条件が「結成16年以上」ということは、昨年までM-1に出場していたコンビもエントリーできる。そのコンビは、いってみれば無駄なぜい肉のない状態で、メタボ大会に出ることになるわけです。ムキムキの筋肉と脂肪肝とでは戦い方が違うから、審査するほうとしても点をつけづらい。 そう考えると、結成16年目を迎えたコンビには、まず、いったん賞レースから離れて、ほんまに自由にお笑いをやってもらいたいとも思います。そこで経験や余裕、ある種の老獪(ろうかい)さといったものを蓄えて、5年経ったころに、また戦える場が用意されているよ、ということにしたほうが、「THE SECOND」は、もっといい戦いが見られる大会になるんやないかと思います。 現に2023年チャンピオンのギャロップは2003年結成、2024年チャンピオンのガクテンソクは2005年結成と、いずれも結成20年前後。やっぱり、賞レースから少し離れて自由なお笑いを数年間やっているコンビのほうが、この大会には合っているんやと思います。
石田 明