【認めたくない真実:アート業界のお悩み相談室】金欠だけどインスタで作品を売りたくない作家、Xで炎上したアーティストがとるべき行動をアドバイス
質問2:SNSへのうっかり投稿で炎上。どう対処すべき?
Q:ソーシャルメディアで炎上してしまい、アーティストとしてのキャリアに傷がつきかねない状況です。21歳の頃の写真を投稿することが流行っていて、大学時代の友人が送ってくれた写真──ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)を出す店のテラス席でサンドイッチを食べながら、「いいね!」という感じで親指を立てている──をX(旧ツイッター)にポストしたのですが、背景にイスラエル国旗があるのに気づかなかったのは失敗でした。おかしな方向で注目されてしまい、ものすごく厄介なことになっています。パレスチナの占領を擁護していると非難する人々がいる一方で、「親イスラエル的な」私を称賛する人たちもいます。実は2件ほどスタジオ訪問に来てくれる予定がありましたが、どちらも向こうからキャンセルされ、作品を出品するはずたったガザ支援のためのアートオークションからも参加を拒否されてしまいました。イスラエル料理の店で「いいね!」のジェスチャーをしている写真をアップしたことに他意はなく、まったくの偶然で、パレスチナで起きている人道危機に対する私の気持ちを代弁するものでもありません。どうすればこの面倒な状況から抜け出して、キャリアをもとの軌道に戻せるでしょうか。 A:あなたは、自分が大好きなタヒニ(練りゴマペースト)、ピクルス、サラダ、ひよこ豆などの具がたっぷり詰まったベジタリアンピタサンドを、熱々のラム肉のミートボールに変身させてしまったのですね。この2つの料理の共通点は何かというと、どちらもかぶり付くと汁が吹き出し、顔やシャツを汚してしまうこと。これと同様、本当に厄介なのが2024年における世の中での立ち回り方です。今はソーシャルメディアによって、大昔の過ちが掘り起こされることもあれば、食べ物についての神経を逆撫でする投稿やくそダサいミームをアップしたことで新たな問題が発生することもあります。これぞまさに、現代のネット社会の闇であり、咀嚼音付きの大食い動画や、ピサの斜塔の前のおどけた自撮り、オープンレター、深夜にアップされるセクシー画像など、手軽な楽しみや承認欲求を満たす手段を得た私たちが支払う代償とも言えるでしょう。政治信条に関係なく、食べ物の写真をアップしたり、善人ぶったコメントを書いたりするのはやめましょう。中立性を保ちたいという表向きの願望を、あなたの無意識が裏切ってしまう危険性があるからです。あなたの間抜けな投稿が一部のアート関係者をどれだけイライラさせているかということを念頭に置きつつ、本当に苦しんでいる世界の人々について思いを馳せてください。
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