なぜ栄氏を無責任に擁護し続けてきた谷岡学長は急転、解任を決意したのか
また3月の会見での発言を含めた学長の管理責任については、こう答えた。 「思いがちゃんと伝わらず、誤解をさせてしまったことについては申し訳ない。お詫びを申し上げたい。ただ、すべてのパワハラが絶対になかったということは、一度も言っていない。一部文脈だけをとらえられ、それがあたかも、そうであったかのように一人歩きした。私の言い方にも(問題は)あったが、一部メディアの伝え方ということもあった。それについて全責任を私が負うというのは(承諾)いたしかねる部分。監督を守るために、この120日間動いてきて、心を砕いてきたわけではない。私は、生徒、学生、選手たちが、望む環境、望む指導というものを確保するために頑張ってきた。その思いが、伝わらなかった」 話がずいぶんとすり変わっている。会見での高飛車な発言は、ネットを炎上させ、ワイドショーの絶好の標的になったが、その文言の問題ではなく、問われているのは、今回の会場での態度を見るまで、自浄作用を怠ってきた大学の最高トップとしての責任なのだ。 40分にもわたる会見の最後で、後任監督について谷岡学長は、この大会中にセコンドについていた吉田沙保里の可能性を否定しなかった。 「(吉田監督は)あり得ると思うが、これからのレスリングのリーダーシップ、レスリング部の運営の仕方は、選手、コーチも含めて、みんなで話し合って決めていかないとならない。レスリングだけではなくて、いろいろなところで問題になっている運動部の文化を打破していくためには、民主主義的に物事を決めていかなければ、新しい二十一世紀にふさわしいスポーツチームというものはつくっていけないだろう」 栄氏が至学館大のレスリング部を解任されたことで、今回のパワハラ問題が一件落着したわけでもなんでもない。直接謝罪は実現していないし、減給処分を行っていたにしろ学内での栄氏を擁護し続けてきた学長の責任もハッキリさせなければ多くの五輪候補を抱えるチームでの再発防止策も中途半端なものになるだろう。