なぜ栄氏を無責任に擁護し続けてきた谷岡学長は急転、解任を決意したのか
谷岡学長は、この3日間の栄氏の態度を見て「まったく期待はずれで、まだ(何も)分かっていない。反省できていない。再生の道を歩みだすことを願った期待を見事に裏切ってくれた」と、解任を決断したとし、この日の会見では、主に二つの理由を挙げた。 一つ目は、謝罪会見を行った直後に、観客席で芸人の千原せいじらとヘラヘラと笑い、しかも、セコンドにつくことを拒否、試合をほっぽりだして知人と共に昼食を外へ食べにいったという行為。 「セコンドについてほしいと、選手たちとともに歩んでほしいということを何度も言ったが、監督は、よく分からないが、セコンドにはついてくれず、観客席で、応援すると言いながら、私どもの知らない方たちと(一緒に観戦し)、この大事な試合のなかで監督業に真剣に集中しているとは思えない状況にあった。(レスリングの試合はスケジュール通りに進まないため)いつ時間が空くかわからないときに私たちは、おにぎりやサンドウィッチを持ち込んで時間があるときに食べるということをしているが、友だちが来て、その友だちと、昼ご飯を食べに行ってしまった。それを聞いたときは本当にショックだったし、これはダメだと思った。陣頭指揮をとる人のやることじゃない。まだ半病人ということで、セコンドにもつけないのかなと思っていたが、友人たちとお昼ご飯を食べに行くような元気があるのであるならば、選手たちのそばにいてほしかった。野球の試合やサッカーの試合で試合の途中にいなくなる監督がいるとは思えない」 谷岡学長は、今大会中のその栄氏の態度について選手からも意見を聴取している。 「今日、試合が終わった子たちを選び、年長の選手と話した。残念なことに、選手の間でも、囲みの取材(謝罪会見)が終わって何時間とたたないときに、芸能人の方と並んで(見ている映像が)流れていた状況のなかで、“監督は本当に反省しているの?”という声があったというふうに言っていた」 選手に解任の意向を伝えると、「学長の判断(解任)というものは支持します。新たなチーム作りについて、私たちも協力していきます」という返答が返ってきたという。 二つ目は、その栄氏の指導方法に対する問題。谷岡学長は、カウンセラーによる1対1の聞き取り調査を現役の選手だけでなく、高校生、OBに至るまで行ってきた結果、「パワハラというのは出てこなかったが、私たちから見て、この教育の現場において不適切だと思われるような言動があった」という。 「過去に言ってはいけないような類いの言い方で、選手に接したということがなかったわけではない。本人たちが、これはパワハラじゃないと思い込んでいることもいっぱいあるが、客観的に見て、私たちは、こういうことは変えていかなくちゃならない、問題であるというふうに思った事案がいくつか出てきた」 重大発言だった。学内調査でも“パワハラらしき”不適切な言動や問題があったというのである。