日本ラグビーのスーパーリーグ参戦は成功するか?
岩渕健輔・日本代表ゼネラルマネージャーは、今回のリーグ拡張計画が出る前から日本のスーパーラグビー入りが果たせないかを思案していた。理事会が5月に「参加の意志を表明する」とした段階で、言葉を選びつつこう語っていた。「これ(参入)がないと、今後への展望はなかなか開けてこないと思っています。長い間、色々とやってきた。8月の申請に向け、あるいは結果発表に向け、協会としてできることをやっていく」。 思いは田中も同じだ。2011年のワールドカップニュージーランド大会でジャパンが1分3敗に終わった折、日本人選手の海外経験の不足を嘆いた。状況を変えるためには、日本のスーパーラグビー参戦が必要だと頭によぎった。自らが海外に出向くと、その意志はより明確になった。協会幹部にメールを送ってもなしのつぶてだったなか、「岩渕さんにも立場があるんで、一般の選手と話すことはできなかったはず。でも…」。ともに日本代表でプレーする選手をはじめ、複数の賛同者と出会えた。「とりあえずスーパーラグビーに入ればレベルが上がる。協会には2019年を見るだけじゃなくて、長期的な計画を見せて欲しいです」。 参加選手への報酬をいかにして支払われるのか、スーパーラグビーに相当するチームのレベルをどう保つかなど、仮に参入が決まった後も課題は出よう。しかし、基本的には岩渕や田中と同意見の堀江は語る。 「そういうのは、やってみなきゃわからないから…」 現場にとってはマストウィンの今回の入札。実際の勝算は五分五分といったところか。 SANZARは地理的条件、現地のプレー環境、国内でのラグビー人気、チームの運営資金の規模などを見比べて判定を下す。日本は代表チームがエディー・ジョーンズヘッドコーチのもとテストマッチ10連勝中で、大学ラグビーを中心に低くはない競技人気を保ってきた。環太平洋諸国の選手らでチームを組むであろうシンガポールに比べたら、国への競技の浸透度合いでは一日の長がある。しかし、今回の枠に入るチームは南アフリカのクラブとの対決が多くなる。そのため比較的同国に近いシンガポールが推される声もある。