熱海土石流災害から3年 遅れる復旧復興事業 「娘の死を無駄にしないで…」鈴木知事に直接訴える遺族も 静岡・熱海市
静岡県熱海市の土石流災害は3日でで発生から3年です。被災地では、3日朝追悼式が行われ、参列者が28人の犠牲者を悼みました。 黙とう 伊豆山小学校 最初の通報があった午前10時28分。 亡くなった28人を悼み、伊豆山から祈りが捧げられました。 ふるさとへ戻りたいと願い続ける被災者も…。 太田滋さん 「サイレンの音を聞くと3年前を思い出すような、悲しい思いになりました」 太田かおりさん「忘れられない部分があったり、戻れないことへのストレスがあるのかなと」 妻を亡くした 田中公一さん 「女房の死に対してはもう3年も経っちゃったかと。でも復旧に関しては結局見た通りほとんど手つかず状態で、いつになったら戻るのかなと」
2021年7月3日。 海と山に囲まれた自然豊かな町の様子は一変しました。 住宅地を襲ったのは、逢初川上流部に造成された盛り土です。 建物被害は136棟に及び、災害関連死を含む28人が犠牲になりました。 去年9月には警戒区域が解除され、住民らの立ち入りが可能に。 しかし、避難した132世帯227人のうち、戻ってきたのは22世帯47人とわずか2割ほど。 ふるさとに戻りたいと願う住民50人以上が、今も避難生活を余儀なくされています。
3日午前、伊豆山小学校で開かれた追悼式典には熱海市の斉藤市長や鈴木知事、被災者や遺族らが参列しました。 娘を亡くした小磯洋子さんは。 娘を亡くした 小磯洋子さん 「1年も3年も私たちにはなくて、同じ苦しみを今も抱えています。もし自分の家族や子どもがこういうふうに殺されたらどうだろうと、この日を機に一瞬でも自分事として考えてもらえたらうれしいと思います」 取材の途中で、突然歩き出した小磯さん。 向かった先は…。 小磯洋子さん: 「県庁に行って、人災になるからすぐに今止めないと。下流の人が大勢死ぬからということを、何回も何回も言いに行ってくれた人がいました。でも、県庁の職員がそれを取り上げなくて」 小磯洋子さん: 「娘です。44歳でした。4歳の子どもを残して死にました。娘も自分が何で死んだか分からないと、今でも私は思っています。娘の死を無駄にしないで。ちゃんと向かい合っていってほしいと思います。よろしくお願いします」 (知事…うなずく) 鈴木康友知事: 「今ご遺族の方とお会いをして、本当に痛恨の極みでございます。1日も早く被災された方が生活に復帰できるように。熱海市さんとしっかり連携しながら、復興復旧に努めていきたいというふうに思っております」 土石流の発生から3年。 伊豆山の復興は思うように進んでいないのが現状です。 熱海市 斉藤栄市長: 「復旧復興が遅れていることは否めないと思っています。その理由として、用地の買収や鉄道の関係で、JRとの協議に時間がかかっている。ようやく今、本格的に年明けから始まった復旧復興の事業を、着実に1日でも早く進めること。そのことが我々熱海市としての使命と考えております」