〈注目〉反捕鯨のカリスマ、デンマークで身柄拘束、日本への妨害活動へ向かう途中で 日本へ身柄移送準備進む
日本船団が南極海で行っていた調査捕鯨を妨害したとして、国際指名手配されていた反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)の創設者、ポール・ワトソン容疑者(73歳)が7月21日、デンマーク領グリーンランドで身柄拘束されていることがわかった。 日本の海上保安庁はワトソン容疑者に対して2010年に、傷害と威力業務妨害などの疑いで逮捕状を用意。国際刑事警察機構(ICPO)は日本政府の要請を受けて、ワトソン容疑者を国際指名手配しており、今回の身柄拘束についても、AP通信は「日本の国際逮捕状によって逮捕された」と報じている。 日本の政府関係者によれば、デンマークから日本への身柄移送の手段などについて検討を始めたという。今後のデンマーク当局の発表次第で、司法手続きの流れが明らかになりそうだ。日本に移送され、領内に入れば、ワトソン容疑者は調査捕鯨事件に基づき逮捕される見込みが高まっている。
エコテロリズムの起源
ワトソン容疑者が現在、所属する「キャプテン・ポール・ワトソン財団」(CPWF)も声明を出し、日本近海での捕鯨を妨害しようと、給油のためにワトソン容疑者と船員が乗った船がグリーンランドの政庁所在地ヌークに立ち寄った際に「逮捕された」ことを認めた。 CPWFの声明によれば、デンマーク連邦警察の要員が船に乗り込んできた際に、ワトソン容疑者の身柄拘束は「日本の国際逮捕命令によるものだ」と告げられたという。 CPWFはワトソン容疑者が連行される際の様子も撮影し、写真や動画を公式サイトなどで公表している。 米CNNによれば、ワトソン容疑者は日本への身柄引き渡しの決定が出るまで拘留され、グリーンランドの地方裁判所に連行される予定だという。
シー・シェパードはかつて日本の捕鯨船団に対して、船ごと体当たりする危険な行為をしたり、和歌山県太地町のイルカ漁の漁師らには執拗なストーカー行為を繰り返していた。こうした苛烈な抗議行動は全てカリスマ的な存在感のあったワトソン容疑者に命令されたり、そそのかされたりして、SSのメンバーらが行っていた。 ワトソン容疑者は抗議船に米国の有料チャンネルのクルーを乗船させるなどして、SSの活動をドキュメンタリー番組「Whale Wars」にまとめ、支持者らに寄付金を呼びかけ、これを活動資金にしていた。Whale Warsは欧米やオーストラリアなどの反捕鯨国を中心に放映され、人気を博し、一方で日本の捕鯨に対する国際的な圧力が高まった。 ワトソン容疑者をめぐっては、かつて米国内でエコテロリズムが猛威を振るっていた際、米連邦捜査局(FBI)捜査官がシー・シェパードの団体の起源こそが「エコテロリズムの起源」と指摘したこともある。