習近平を「激怒」させたトランプとバイデン…「破った」慣例の正体
「安全保障を専門とするジャーナリストとして20年以上活動してきた中で、 今ほど戦争の危機を感じる時はありません。」 【写真】中国が保有するミサイルの数々…! 知らぬ間に「米国のミサイル基地」と化している日本の現状に、 安全保障の専門家たちが一斉に警鐘を鳴らす! 石破茂政権に注目が集まる「いま」こそ知っておきたい、 日米安保をめぐる「衝撃のウラ側」が、 『従属の代償 日米軍事一体化の真実』で明らかになる。 ※本記事は布施祐仁『従属の代償 日米軍事一体化の真実』から抜粋・編集したものです。
米国による関与の拡大
米中間の緊張を高める要因の一つとなっているのは、トランプ政権以来の米国による台湾への関与の拡大です。 トランプは2016年秋の大統領選で当選すると、大統領や次期大統領としての37年来の慣例を破って台湾の蔡総統と電話で会談。さらに、テレビ局のインタビューに「通商を含めていろいろなことについて中国と取り引きして合意しない限り、どうして『一つの中国』政策に縛られなきゃならないのかわからない」と発言しました。 1972年にニクソン大統領が訪中して以来、米国の歴代政権は、中国が台湾に武力侵攻しない限り、台湾は中国の一部だとする中国の立場に異論を唱えないという立場をとってきました。米国の大統領や次期大統領が台湾の総統と会談を行ってこなかったのも、この「一つの中国」政策に基づくものでした。 トランプは大統領選で当選するやいなや、「一つの中国」政策の放棄を示唆するような行動と発言を行ったのです。 トランプは正式に大統領に就任すると、中国の習近平主席に「一つの中国」政策をこれまでどおり維持すると伝えます。しかしその一方で、台湾に対する武器の売却を急増させます※2。 また、議会も2018年3月に「台湾旅行法」を制定し、それまで自制してきた外交や国防分野の政府高官の往来を解禁するなど、台湾への関与を強めます。 こうした米国の動きを、中国は「『一つの中国』原則の空洞化をねらっている」と厳しく批判しました。そして、米国の台湾問題への干渉を牽制するために、台湾海峡での軍事活動をいっそう強めていきました。