習近平を「激怒」させたトランプとバイデン…「破った」慣例の正体
バイデン政権以降の米国の動き
米国が台湾への関与を強める動きは、バイデン政権になってからも続いています。 バイデン大統領は2021年8月、米ABCニュースのインタビューの中で、「もしNATOの同盟国に侵略があれば、我々は対応すると神聖な約束をしている。これは日本に対しても同じだし、韓国に対しても同じだし、台湾に対しても同じだ」と発言しました。 直後に米政府高官が「米国の台湾政策に変更はない」と政策転換を否定しましたが、この発言は台湾有事への軍事介入を明示していない台湾関係法の枠を明らかに逸脱するものでした。バイデン大統領はその後も同様の発言を繰り返しています。 2022年8月には、大統領継承順位第2位の下院議長が台湾を訪問し、蔡総統と会談しました。これに強く反発した中国は、1996年の第三次台湾海峡危機以来となる大規模な軍事演習を台湾周辺で実施しました。これ以後、それまで「暗黙の休戦ライン」であった台湾海峡の中間線を越えて中国軍機が台湾側に侵入する事案が常態化し、偶発的な衝突の危険性も増大しています。 キッシンジャーは、「米国が他の地域での立場を損なうことなく台湾を放棄するのは容易なことではない」と語り、中国が台湾に侵攻した場合、米国が台湾を守らないという選択肢は考えにくいと指摘しています。台湾を見捨てたら、世界中の同盟国の米国への信頼が失墜し、他の地域での米国の立場も危うくするというのです。 米国と中国は台湾をめぐって互いに一歩も引けない危険なチキンレースに突入しているように見えます。 >>議論の内容をさらに詳しく知りたい方は「米国を「恐怖の底」へ突き落とした中国!米国が日本を「犠牲」にしても守りたいものとは一体…」もお読みください。
布施 祐仁(ジャーナリスト)