フーシ派、タンカー爆破映像を公開。原油流出懸念なお
イエメンのフーシ派は、ギリシャ船主デルタ・タンカーズ保有のスエズマックス型タンカー「スニオン」(Sounion、16万3800重量トン型、2006年に韓国の現代三湖重工業で竣工)を襲撃、爆破した映像を公開した。この映像をソーシャルメディアXに投稿したレバノンのメディア、ウォー・モニター(War Monitor)によると、フーシ派は「占領下にあるパレスチナの港への入港禁止の決定に違反したためだ」と主張している。
映像は、これまで断片的に伝えられてきたスニオンへの襲撃が段階的に進行し、最終的に爆破に至った様子を示している。
最初の攻撃と船員の避難の後、フーシ派は同船の甲板に複数の爆弾を仕掛けたことが報道されていた。
今回新たに公開された映像では、フーシ派が燃えているタンカーに再び乗り込み、さらに爆弾を追加で設置した様子が映し出されている。2度目の爆発で船橋が吹き飛び、甲板の7、8カ所でさらに爆発が起こっている様子も映像に残されている。
フーシ派がギリシャ船主デルタ・タンカーズのタンカーを攻撃した理由について海事関係者は明確な理由を説明できないでいた。今回フーシ派は「占領下にあるパレスチナの港への入港禁止の決定に違反したためだ」とその根拠とみられるものに言及している。
現在、2隻のタグボート、ヘラクレス(Hercules)とグラディエーター(Gladiator)がスニオンの曳航準備に入っている模様だ。
現地報道によると、スニオンは110万バレルのイラク産原油を積載しており、米国務省はエクソン・バルディーズ(Exxon Valdez)の原油流出事故(1989年)での流出量24万バレルの4倍に達する懸念があるとしている。
救助隊は今後、スニオンの積み荷を船から船へ緊急移送するか、港まで曳航するかを決定する。英船価鑑定大手ベッセルズ・バリュー(VesselsValue)によると、デルタ・タンカーズはVLCC(大型原油タンカー)5隻、スエズマックス23隻、アフラマックス1隻、合計29隻のタンカーを保有している。スニオンはギリシャ船籍のタンカーだ。