ワールドグループがライトオンにTOB、トップ交代で経営再建へ
ワールドと日本政策投資銀行による投資会社W&Dインベストメントデザインが、ライトオンの子会社化を目的としたTOB(株式の公開買い付け)を実施することを発表した。ライトオンは、ワールドおよびW&Dインベストメントデザインのマネジメントレベルを招いて2024年8月期決算説明会を開催。TOB実施の背景や、今後の事業計画について説明した。
ライトオンは2024年8月期の業績で、売上高388億800万円(前期比17.3%減)、営業損失50億円(前期は9億2200万円)、純損失121億4200万円(同25億4500万円)を計上するなど、赤字体質に陥っている。2023年2月に取引先金融機関から単独での事業継続が困難との見解が示されたことを受け、複数の事業会社に業務提携を打診してきた。同社は、2024年8月期の秋冬シーズンで客数の落ち込みが激しく、当初の計画を大きく下回って進捗していたことを踏まえ、W&Dインベストメントデザインにアライアンスを打診。業績が更に悪化したことで、今年6月に事業再生支援を前提とした業務提携を正式に依頼したところ、ワールドからTOBを実施したい旨の提案を受けたという。 ライトオンは、運転資金の確保や財務基盤の強化、および事業基盤の強化による収益力の向上を喫緊の課題と認識。今回のTOBによって、人材やMD、物流、顧客管理など多くの面でメリットが見込めると考えた。ライトオンの藤原祐介代表取締役社長は「現在の苦境は、私の判断不足、先読みの甘さによるもので、責任を感じている。ワールドがこれまで培ってきたビジネス基盤を活用することで、必ず良い方向に向かうと確信している」と話す。 今後同社は、監督(取締役)と執行(執行役員)を分離した経営体制に移行。11月29日の株主総会をもって、ワールドの大峯伊索常務執行役員が社長執行役員に就任し、会社の舵取りを担う。株式の決済完了後、大峯氏は代表取締役社長執行役員に昇格する。「いかにしてマーケットのニーズに対応し、コスト管理を意識して利益を出していくかが重要。社員が気持ちを一つにして頑張ることで良い結果につながると信じている」とワールドの大峯常務執行役員。 TOBの実施にあたり、ライトオンは2024年8月期からスタートしていた現在の中期経営計画の取り下げを決定。2025年8月期からは新たな中期経営計画を掲げ、抜本的な構造改革に着手する。2025年8月末を目処にした本部人員の削減や、2026年2月末までに進める不採算店舗の大幅退店、市場にマッチした商品構成への見直しなどにより、利益重視の企業構造に変えていく。新中期経営計画初年度となる2025年8月期は15億円の赤字を見込んでいるが、最終年度となる2029年8月期までには黒字化させていく計画だ。 なお、ライトオンの2024年8月期、2025年8月期の株主配当については、現状の経営状況を勘案し、無配となる見通しだという。