「クレカタッチ」は交通系ICカードを駆逐してしまうのか 熊本で「全国相互利用」離脱、一方で逆の動きも
このカードに切り替えることで高齢者割引などの独自サービスを維持できるほか、既存の機器更新ではなく「新規のシステム導入なら国庫補助があるので、費用面でもメリットがある」(長野市交通政策課)として導入が可能になったという。 ■やっぱり強い交通系IC 全国の交通機関に広がりつつあるクレカタッチ決済。都市部の大手私鉄や地下鉄をはじめ、地方のバス会社なども訪日客に対応したキャッシュレス決済手段として導入する事例が増えている。QRコードを利用したシステムの拡大も含め、これまで電車やバスの利用では「一強」だった交通系ICカードの立場が変化しつつあることは確かだろう。
だが、全国相互利用の利便性やスムーズなタッチ操作など、多くのユーザーが慣れ親しんだ交通系ICカードの優位性はやはり高い。一方で、経営環境が厳しさを増す地方の交通事業者にとっては、システムの更新費用が大きなネックとなる。 現状では「新たな決済手段がICカードを凌駕する」というよりは、用途によるすみ分けの状態にあるといえそうだが、一度導入した全国交通系ICの取り扱いをやめる熊本の動きは、今後の交通機関キャッシュレス決済の動向に少なからず影響を与えそうだ。
小佐野 景寿 :東洋経済 記者