AIによる動画編集ツールの台頭、需要の増加が背景に
精度と創造性の融合
AIによる自動編集は効率化にとどまらない。物体識別とトラッキング機能などは、ターゲットのオブジェクトに関して一貫した編集が行えるので、精度が向上するだけではなく、手作業では実現が難しかった細かいビジュアル効果も追加することができる。 例えば、カーチェイスシーンで車の加速、ブレーキ、衝突など細かく識別し、それぞれのシーンに合ったビジュアル効果を加えることで、リアルな映像とバーチャルな要素を組み合わせた迫力のあるシーンが作成できる。物体だけではなく、人の顔の表情も識別することもできる。それらをカテゴリー分け、クリップ分類、タグ付けなど細かく仕分することで、検索や管理が容易なコンテンツライブラリを構築することもできる。
ストーリーテリングの景色を変えるNLP
AI技術のうち、コンテンツクリエイターたちがこぞって注目しているのが自動言語処理(NLP)の機能だ。映像の中で話された言語をテキストに変換して、機械学習技術によって、話し手のアクセントや話し方に関係なく音声を正確に文字に起こすことができる機能で、映像のテキスト検索やテーマに沿った要約も可能だ。 また、NLPは感情分析もできることから、ソーシャルメディア上のコメントなどの視聴者のフィードバックを学習し、そのパターンを分析して、視聴者と強いつながりをもったストーリーを作り出すこともできる。
注目のプラットフォーム
2023年、注目を集めた4つの動画編集プラットフォームとそれぞれの特徴を挙げてみよう。 Wisecut(アメリカ) 3時間のビデオクリップを1分のコンテンツに圧縮する能力をもつ。今回の投資資金を活用し、OpenAIのGPT-4技術を導入、長時間のビデオからテーマに沿ったスニペットを自動生成する機能を追加する予定。
Synthesia(イギリス) AIによる合成音声(TTS)を推し進めている。アバターを選び、文字入力すると数分でプレゼンターが生成され選ばれた言語で話す。120言語以上に対応。