モダンな新デザインで登場したハーレー「ストリートグライド」最新モデルはこれから変わりゆく時代の象徴か
しかしながら、その加速感はどちらかというとハーレー伝統の『ドドド』という鼓動感を感じるものではなく、パワーとトルクが「グォー」と連続的に沸き起こるような感覚で、至ってスムースです。こうした部分は繰り返しを承知でいえば進化を感じさせるものです。 またハーレーのツアラーモデルといえばフロントのネックよりフォークが後ろに配置される逆オフセットのトリプルツリーが採用され、それが直進安定性とハンドリングの軽さを両立する要因となっているのですが、2014年以前のホイール16インチ・モデルでは妙なフラつきとコーナーでの「立ちの強さ」が気になっていたのが正直なところ。 かなり「クセ強め」なハンドリングだったのですが、フロントホイールが19インチ、リアが18インチに変更されてからは、その「クセの強さ」もかなり緩和されています。ヘビーな見た目ですが(実際、車重は368kgもありますが)、街中での取り扱いは思ったより軽快です。
視認性に優れたタッチパネルディスプレイ
さらにいえば新規採用された液晶ディスプレイのメーターは、視認性も高く、個人的には好感を持ったポイント。ハンドル回りに集中するインフォテイメントの切り替えスイッチの操作こそ慣れが必要になるでしょうが、スマホのように使いこなせれば便利この上ない機能です。 こうした『デジタル』なパーツを嫌うハーレーマニアも多いのでしょうが、高級外車では一般的な液晶ディスプレイは乗り手にステイタスを感じさせるものとなっています。走りといい、装備といい、すべてにおいて最新のストリートグライドは快適です。
1979年、ラバーマウントモデルの元祖である『FLT』が登場した際、事前にハーレーダビッドソン社がユーザーに向けてアンケート調査を行ったそうですが、そこでよく聞かれた声が「ハーレーの振動が不快」というもの。 それ以来、長きに渡って進化を繰り返してきたハーレーというバイクですが、2024年モデルのストリートグライドはメーカー側が目指した解答に、かなり近づいたモデルになっています。 昔気質に「鼓動感」を求めるハーレーユーザーにオススメ、とは正直言いませんが、快適性を求めるライダーに向けてなら、決して悪くありません。バイクとしての完成度はかなり高いです。
渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)