2年前まで高校教諭だった“シン・理想の上司”、町田・黒田監督が持つ「リーダーとしての3つの手腕」
◆チームの意識を1つにする、黒田監督の「言葉で伝える力」
オーナーである藤田社長が最も評価する黒田監督のリーダーとしての素質の1つに「高い言語化能力」があるという。絶対に負けられない場面では厳しい表現で選手たちを鼓舞し、逆にリラックスして休ませるときは言葉のトーンを変えながら伝え、選手の状態を場面に応じてうまくコントロールしている。 週の最初の練習日には、次の試合に向けて黒田監督からパワーポイントのスライドを用いた短いプレゼンテーションがある。そこで前回の試合の改善点と、今回の試合に向けて注力すべきテーマを選手にインプットし、練習メニューに入っていく。そのプレゼンテーションでのコミュニケーションの質が、町田の試合における「戦術の徹底」につながっているのだ。 黒田監督はプロチームの監督経験はないが、この「伝える力」に限って言えば、高校教諭として長く高校生を指導してきた経験が大いに生きているのではないかと思う。 15~18歳のまだまだ精神的にも肉体的にも発展途上の生徒たちに、できるだけ分かりやすいように戦術や練習の意図を伝え、時には厳しく叱り、時には優しく褒める経験を豊富にしてきた黒田監督だからこそ、プロサッカー選手に対してのコミュニケーションも他の監督とは違うのだろう。 サッカー選手でなくても、黒田監督のようなリーダーの下で、自身の才能や強みを発掘し、それらを仕事の中で開花させることで成果を出し、自分の可能性を広げたいと思う人たちが多くいるのも納得できる。
小寺 良二(ライフキャリアガイド)