今季1軍登板なしの日本ハム・石川直也、巻き返しへ秘める思い
【球界ここだけの話】鎌ケ谷スタジアム右翼後方にそびえる坂道。そこにはただ上だけを目指し、黙々とダッシュを繰り返す姿があった。日本ハム・石川直也投手(28)が11日、千葉・鎌ケ谷市内の2軍施設で自主トレーニングを実施。1軍登板なしで終わったプロ10年目の今季を振り返った。 「状態は良かったです。ただ使ってもらえなかったというのは、この1年苦しかったです」 2015年、山形中央高からドラフト4位で日本ハムに入団。救援投手として150キロ超えの直球と打者の手元で鋭く落ちるフォークボールを192センチの長身から投げ下ろす。18年には抑えとして自己最多の19セーブを挙げた。 今季はファームで36試合に登板し、2勝3敗、9セーブ、防御率2・86をマーク。昨季、課題に残った直球の出力も戻ってきており「平均球速が140キロ後半で空振りも増えてきた。良い方向に向かっていると思います」と手応えを口にした。その上で「平均球速が150キロを超えるように」と視線を上げた。 オフのテーマは「並進運動を速くすること」。並進運動とは投球時のステップで踏み込み足が地面に着くまでの運動を指す。今年8月に行った動作解析で同運動の改善を指摘されたといい「そこが少しでも速くなれば(球速も)上がってくるのかなと思います」とうなずいた。 新庄監督はすでに来季の抑え投手候補に田中正と同じ山形中央高出身で石川の2学年先輩にあたる斎藤友を指名している。「そこを諦めたわけじゃないですけど、立場的にどれだけ上で投げられるかという話になってきている。まずは上で投げられる準備をしたい」と冷静に足下を見つめた右腕。先を見ず、まずは目の前の1試合に〝全集中〟するつもりだ。 11月20日には第2子となる次女が誕生したことを発表。長女の保育園の送迎が日課で「リフレッシュは娘と遊ぶことです」と笑顔を見せる。巻き返しを図る来季へ「家族のためにというのが一番です。1試合でも多く、1日でも長く1軍にいたい。それだけです」。一家の大黒柱は愛するチームのために、家族のために腕を振り続ける。(加藤次郎)