投票日まであと1週間...米大統領選「5つの争点」を徹底解説 独自調査で見えた「最大の争点」は?
第4の争点「ウクライナ」...トランプは「プーチンの望む条件で戦争を終わらせたい」
ロシアとウクライナの戦争が始まってから足かけ3年、一連の世論調査からはトランプ支持者の間でウクライナ支援に対する熱意が冷めていることが見て取れる。この問題への政府の対応については民主党と共和党の主張が真っ向から対立しており、投票行動を左右する要因であることは間違いない。 ロシアの露骨な侵略が始まって以来、アメリカは一貫してウクライナに対する最大の軍事支援国だ。米議会はこれまでに5回、総額1750億ドルもの支援を承認している。 今年10月の世論調査では、回答者の16%がウクライナ支援の停止を望んでいた。8月時点の14%に比べて2ポイントの増加だ。とりわけトランプ寄りの有権者では、4分の1以上がアメリカによる支援の即時停止を望んでいる。 一方でハリスは、紛争終結に向けたいかなる交渉からもウクライナを排除してはならないと主張し、ウクライナの現政権を支持するバイデン政権の立場を継承する意向を示唆している。 対して共和党のトランプはウクライナの現政権を支持せず、戦争終結に向けた「取引」に応じないウォロディミル・ゼレンスキー大統領を批判している。 ペッパーダイン大学のダン・コールドウェル名誉教授(政治学)に言わせれば「国際紛争や戦争に対するアメリカ人の見解はさまざま」であり、「支持政党や人種、ジェンダー、民族、世代などによって大きく異なる」のが常だ。 戦争は長期化しているが、民主党支持者の多くは一貫して、ウクライナを支援すべきだと考えている。「ウクライナ勝利の日まで支援を継続すべき」だという回答は昨年7月段階で47%、直近の10月には53%だった。 逆にトランプ支持者の間では、この数字が同時期に29%から21%にまで減っている。
ジョージ・ワシントン大学のロバート・オアトゥング研究教授(国際関係論)によれば、ウクライナに関する両候補の主張は一貫している。 「ハリスはウクライナとバイデン政権の取り組みをを強く支持し、ロシアに勝たせてはいけないと確信している」が、対する「トランプと副大統領候補のJ・D・バンスはウクライナ支援に興味がないことを明確にしており、プーチンの望む条件で戦争を終わらせたい考えだ」。 直近の10月の調査では、明確にウクライナ支持を表明した人は男性で40%、女性で29%だった。 59歳以上の有権者では43%が明確にウクライナを支持していたが、もっと若いZ世代とミレニアル世代ではアメリカ政府のウクライナ支援継続を支持する人がずっと少なく、それぞれ31%と30%だった。 「ウクライナに対する態度には政治的な志向性の違いがよく表れる」と言ったのはペッパーダイン大学のコールドウェル。「その違いが、両候補の主張に明確に見て取れる」 ──ブレンダン・コール