17年前には韓国が…野球の国際試合での『オーダー書き換え事件』侍J井端監督が知る星野さんの怒りと“教訓”
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って・侍ジャパン編 ◇23日 「ラグザス presents 第3回 プレミア12」2次リーグ 日本9―6台湾(東京ドーム) ◆プレミア12、各国のチアリーダー【写真】 第1試合で米国がベネズエラを下したことで、ナイターの台湾戦は単なる順位決定戦となった。デーゲームの勝敗が逆なら日本に勝つしかなかった台湾にすれば、まさに天と地の差。ルール違反を承知で予告先発を変更してきた理由はここにある。 国際大会で試合当日に先発投手を変更してきたケースは、以前にもある。2007年12月2日。北京五輪予選を兼ねたアジア選手権での韓国戦(台中)である。大会前の監督会議の決定に従い、開始1時間前に互いのオーダーを交換。10分前に再び同じものを交換するはずが、韓国は既に球場内に公表されていたオーダーから書き換えて提出した。先発投手を右投手から左に、さらに日本の先発がダルビッシュではなく左の成瀬とわかり、右打者を1人増員し、打順も並び替えた。 「大きな会議で決めたのに、なぜこうなるのか。あれで絶対に負けられないと思った。オレは負けないぞと」 日本代表の星野仙一監督は、勝利の会見で怒りを隠さなかった。代表メンバーには岩瀬、川上、荒木、森野、そして井端監督と中日から5人も入っていた。彼らは「星野さんがめちゃくちゃ怒ってたのは覚えています」と記憶を掘り返し、続いてこう口をそろえた。 「緊張感のある試合だったので、自分がやるべきことをやる。それに必死で、相手の投手がどうとか、怒りとか、そんな余裕はなかったですね」 17年前の韓国が破ったのは、厳密にはルールではなくスポーツのマナーだ。目の前の試合に勝つために、取り決めを悪用し、欺いたと言われても仕方ない。一方で今回の台湾が破ったのはルールだが、この試合の重みが劇的に変わった事情はわからぬでもない。 とはいえ日本はミーティングも準備も済ませていた。どちらも見越した投手を予告先発にすることはできたはずだ、だから約束は守ってくれという言い分は正論だ。だが「オーダー書き換え事件」は不満を飲み干し、自分がやるべきことをやれと教訓を残す。どんなことも起こり得るのが国際大会なのだと、井端監督は知っている。
中日スポーツ