政党の「公認」「推薦」「支持」の違いは? 坂東太郎のよくわかる時事用語
衆議院選が12月2日に迫る中、各党の候補者擁立をめぐるニュースが報じられています。その際、耳にするのが政党からの「公認」「推薦」「支持」などの言葉です。これらは、それぞれどういう意味で、どう違うのでしょうか。 【全編動画】ネット党首討論「安倍政権2年」「経済政策」「安保政策」で論戦
それぞれの違いは
「公認」とは、その政党が「わが党の候補者である」と堂々と認めている候補者です。政治団体は総務省に届出さえすれば原則誰でも自由に作れます。「○○党」と名乗っても構いません。ただし法律上の政党は別です。 ・所属する国会議員が5人以上 ・一番近い国政選挙(衆議院もしくは参議院選挙)で全国を通して2%以上の票(選挙区・比例区いずれか)を得た の1つを満たすとそうなります。 法律上の政党から公認を得て衆議院小選挙区で立候補すると比例代表区に重複立候補が可能となります。小選挙区は名の通り1選挙区で1人しか当選しません。しかし比例の名簿にも名を連ねていれば順位が上であったり、惜敗率つまり敗れたもののおしかった場合などで復活当選が可能です。法律上の政党でない政治団体は公認候補であっても比例代表区からの立候補ができません。また公認候補はテレビの政見放送ができたり、政党交付金の対象になるなどのメリットがあります。 なお法律上の政党ではない政治団体は「諸派」とまとめて記載するのがマスコミの通例です。 「推薦」にはさまざまな理由が考えられます。まず現在の自民党・公明党の連立与党の場合だと、自民党公認候補を公明党が推薦するとか、反対に公明党公認候補を自民党が推薦するなどのケースがあります。党員でない候補者であるとか、ある1つの党の公認を受けるより複数の推薦を受けた方が票を得やすいという計算を働かせる場合もあります。また候補者に何らかの疑惑が取り沙汰され党としても公認を出しづらいなどといった時にも用いられる可能性があります。これは「支持」も同じです。候補者独自の判断で「推薦ならば」と引き受ける人もいます。いずれにせよ比例代表区からの立候補ができず、重複立候補がかなわないばかりか小選挙区での政見放送もできません。 「支持」は一般に推薦より出した政党が力を入れないという意味になります。比例代表区や政見放送の扱いも「推薦」と同じです。ついでにいえば完全無所属も同様です。党本部が推しにくい候補で都道府県連が「やりたい」という候補者に出したり、かなりの知名度など勝てる要素があり、同等程度のライバル候補が同一選挙区にいるものの政党の支持母体や考え方と差のある主張をしているといった場面で「支持」に止めておくという判断もあり得ます。