政党の「公認」「推薦」「支持」の違いは? 坂東太郎のよくわかる時事用語
政党によって基準は異なる?
自民党は「選挙対策要綱」に則って「公認」と「推薦」を分けています。「公認」は自民党の理念や政策をする推進にするのにふさわしい人物に与えています。「推薦」は「公認に近い人」に与えます。先に述べた公明党の候補者への推薦が最もわかりやすい例となります。連立政権を組む友党でもあり考え方も近いが、自党の党員ではないケースなどが当てはまります。「支持・支援」には明確な基準がありません。 野党第一党の民主党は党本部が与えるのが「公認」か「推薦」で、地方組織の都道府県連の判断で「政治的意思表示」をするために与えるのが「支持」です。したがって党本部の決定ではありません。 「公認」は原則として党員の候補者です。ただ地方議員の場合に例外的に、党員以外の候補者に公認を与えるケースもあります。「推薦」は党員以外の候補者に与えるものです。綱領などには特に定めはありません。 断固野党の日本共産党はズバッと「基本的にすべて公認」です。ただし今回の総選挙では沖縄2~4区については、「新基地建設反対」を柱に2014年11月の県知事選を一緒に闘った特別な枠組みを大切にして進めようと、候補者それぞれ支援しする方針を固めまた結果、珍しく「全選挙区擁立」が当たり前のところ2~4区に公認を立てず、他候補を「支援」します。2区は社民党公認、3区は生活の党公認、4区は無所属候補です。逆に1区は共産党公認候補を立てて他党の支援をもらっています。 なお、公認の基準は最高意思決定機関の中央委員会で決めます。要綱などに基準が書いてあるわけではなく「内部文書」に記してあるそうです。
公認めぐるさまざまな事情
衆議院議員総選挙は上記のようなメリットがあるほか、主義主張の異なる政党同士の戦いという側面が強いので公認候補同士の激突となるのが大半です。逆に市長村議会議員や首長(都道府県知事と市町村長)選挙では争点が身近で大きな違いがない候補者同士のぶつかり合いになる場合も多く「県民党」などと自称して無所属で立ち、政党からは推薦や支持に止めるというパターンがよくみられます。 特に国政では与党(首相の味方)と野党(首相の味方以外)で角突き合わせている政党同士が首長選で「相乗り」する時に見慣れた光景です。例えば2014年10月の福島県知事選挙は当選した候補は無所属で自民党、公明党、民主党、維新の党、社民党が「支援」(ほぼ「支持」と同義)しました。
--------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など