シリア反政府勢力が大規模な「麻薬工場」を発見、アサド政権もうひとつの闇が明らかに
米政府などが、シリアのアサド政権が「カプタゴン」と呼ばれる覚醒剤に似た麻薬の製造・販売に手を染めていると指摘したのに対し、同政権は一貫して否定してきた。だが政権を追放したシリア反政府勢力は、首都ダマスカスの西にある巨大な倉庫の中で、大規模な麻薬工場を発見したと発表。政権が崩壊したことで記者たちは初めて、シリアにおける麻薬帝国の実態を目の当たりにした。 シリアの首都ダマスカスの西にある、こちらの巨大な倉庫――中にあったのは大規模な麻薬工場だった。アサド政権を追放したシリア反政府勢力は、中毒性のある覚醒剤アンフェタミンに似た麻薬で、一般にカプタゴンとして知られる錠剤数千個を発見した。 その多くは電気製品の中に詰め込まれていたという。戦闘員の1人は「こうやって隠して海外に送るのだ」と語った。このように銅に包んで中身を隠そうとしていたという。また果物の中に錠剤が隠されていたケースも。 アサド政権は以前から国際的な麻薬取引への関与を否定してきた。一方米政府などは、政権がカプタゴンの製造と販売で利得を得ていると非難していた。 政権崩壊によって記者たちは初めて、シリアにおける麻薬帝国の実態を目の当たりにした。専門家によると、カプタゴンの年間取引額は数十億ドルに上るという。 西側各国は、シリアで麻薬取引を取り仕切っていたのは、アサド大統領の弟であるマヘル・アサド氏だと名指ししていた。マヘル氏の所在は不明で、ロイターは麻薬取引の疑いについて本人から話を聞くことはできなかった。 倉庫の中からは錠剤の製造機と、さまざまな化学物質が入った樽や箱、瓶が数十個見つかった。 カプタゴンは、注意力障害の治療を目的として1960年代にドイツで初めて製造された薬品の名称だ。製造が中止になった後も、模造品が生産され続け「貧者のコカイン」と呼ばれた。この麻薬は戦争の最前線から高級パーティーまで、中東全域に定着している。米国を含む多くの国で禁止されており、深刻な副作用を引き起こす可能性がある。 ダマスカスの現場は、戦闘員らがシリア国内の複数カ所で発見した施設のうちの1つで、麻薬の製造と輸出用の包装を行っていた場所だという。カプタゴン取引を追跡している米国を拠点とする団体によれば、この製造施設は、過去発見されたものの中では最大規模だという。