仕事って、苦役ですか?
仕事とは生きること
「ワークマンシップ本能」という考え方があります。ソースタイン・ヴェブレンによって提唱されたこの概念は、「人は本来、仕事が好きだ」という考え方に基づきます。私なりにこの概念を解釈すると、「人は問題を解決することで、自分の行動は世界の役に立っていると思いたい存在である」ということです。 課題の解決に向けて何かを創り出すことにこそ人間の本質があると考えると、仕事を通じて達成感や自己成長を求めることは、人間の自然な傾向だといえます。つまり、ワークマンシップ本能とは人間の根源的な性質であり、「生きること」とほとんど同じ意味をもつともいえるのではないでしょうか。 この「ワークマンシップ本能」を目覚めさせ、個々の才能や情熱を引き出す職場では、仕事は喜びや誇りになり、眠らせたままの職場では、仕事は苦役となってしまうのかもしれません。
ワークマンシップ本能を目覚めさせよ
先日の日本経済新聞に「ホワイト企業はモーレツに敗北」と題した記事が掲載されました(※1)。ご覧になった方も多いかもしれません。 日経新聞は、口コミサイトの書き込みから、働きやすいが働きがいは低い企業を「ホワイト」、働きやすい環境ではないものの働きがいの高い企業を「モーレツ」、両方とも低い企業を「ブラック」とし、労働環境と業績の相関を分析。その結果、業績では「ホワイト」企業は「モーレツ」企業に負けていたという記事です。 その記事が提案するのは、働きやすい環境を整えると同時に、社員が働きがいを感じられる「プラチナ」企業への進化です。長時間労働の是正やハラスメントのない職場づくりなど、働きやすさを高める取り組みはもちろん不可欠ではあるものの、それだけでは会社も社員も成長しない。働きがいのために必要なのは、社員が会社の進む方向を理解し、そこに皆が向かおうとする意志である、と。 弊社のコーチング研究所が行ったリサーチ結果に、「社員が会社の進む方向を理解し、そこに向かおうとする意志をもつ」には、マネジメント層の振る舞いが重要であることを示唆するものがあります(※2)。 「ビジョンの理解・共感に影響する要素には、『その組織トップや上司の振る舞い』が、『働く環境(評価や制度)』以上に大きな影響がある」というものです。 さて、冒頭のYさんですが、先の3つの問いを通じて、Yさんが社長として新入社員に伝えたい仕事観は、こんな言葉になっていきました。 「会社とは、平凡な人を非凡にしていく、幸福なシステムである。だから大いに使ってほしい。 同じ仕事をしていても、それを苦役と捉える人には苦役となり、幸福の場と捉える人にとってはそうなっていく、それはあなた次第である」 Q 仕事とは、会社とはなにか? Q 何のために、誰のために働くのか? Q なぜ働くのか? あなたは、この問いにどんな言葉を紡ぎますか?