「結婚できる高所得層」「結婚できない中間層」の残酷すぎる格差
これらのプラス額を夫の年収にあてはめると、同類婚や下方婚をあわせた全体の夫の平均年収よりすべてにおいて高い年収が求められます。上方婚の場合、300万円台の妻は550万円の年収がある夫と結婚しているのです。 こうして見ると、「年収500万円は普通」というのは、結婚できた女性にとってはその通りなのでしょう。しかし、これから結婚しようとしている未婚女性も同様にそれが可能かというとそうはなりません。 要するに、「夫500万円以上」とマッチングした女性だけが結婚できていて、婚活市場からその年収層は早々に完売してしまいます。婚活にいそしむ未婚女性は、それでも「500万円以上」を求めてさまよいますが、市場にはもう残っていない。
さらに、見合う相手がいないからと、出てくるまで待とうとしても、皮肉にも女性がキャリアを積めば積むほど自身の年収もあがります。そうなるとさらに相手に求める年収条件も自動的に上方スライドします。結局いつまでたっても条件に見合う相手は見つからない。まさに「上方婚志向の無限地獄」に陥ります。だからこそ全体の婚姻数が激減しているわけです。 20代夫婦の子無しと子有りの夫の年収構造の違いを見ると一目瞭然です。まだ子の無い夫婦の場合は、最頻値こそ10年間で300万円台から400万円台へと上昇しましたが、全体数はほぼ一緒です。しかし、子のいる夫婦で見ると、夫年収500万円以上は10年前と子のいる世帯数はまったく減っていませんが、それ以下の層、特に夫年収150~400万円のかつてのボリュームゾーンだけが大きく減少しています。
いうなれば、夫の年収400万円未満の中間層だけが結婚できなくなっており、年収の高い層だけが結婚をして子どもを持てるようになってしまっているわけです。 ■問題の本質は「結婚したいのにできない」人々 繰り返しますが、「結婚したいなら相手の年収条件を下げなさい」と言ったところであまり意味はありません。結婚相談所などに入って相談しても、多分同様のことを仲人さんに言われることと思いますが、「自分より稼げない男性と無理に下方婚するくらいなら別に独身のままでいい」となるだけです。