2024年10月の企業倒産は925件、年内2番目の高水準 30カ月連続で前年同月を上回る
全国企業倒産集計2024年10月報
2024年10月の企業倒産は925件発生し、前年同月(790件)を17.1%上回り、30カ月連続で前年同月を上回った。物価高、人手不足、ゼロゼロ融資の返済本格化も重なり、5月(1016件)に次いで今年2番目の高水準となった。
「船井電機」 破産の影響を注視
国内外でその名を知られる“有名企業”の大型倒産が発生した。FUNAIブランドで知られるAV機器メーカー「船井電機」(大阪)は10月24日、破産に追い込まれた。ここ数年は新たな経営体制の下で、買収による多角化を進めていたが奏功せず、近時は取引先の警戒感も高まっていた。最後は、破産申請時に通常行われる取締役会の決議を経ず、創業家の取締役が単独で破産を申し立てる「準自己破産」という、この規模では異例の結末となった。 船井電機の負債は約469億6482万円にのぼり、今年2番目の大型倒産となった。トップは7月に特別清算処理された「MSJ資産管理」(旧:三菱航空機、負債約6413億円)だが、債権者は親会社のほぼ1社のみ。これに対して、今回の倒産は約500名にのぼる多数の一般債権者を巻き込んでおり、実体経済に与えるインパクトも大きい。現時点で連鎖倒産は発生していないが、当面はこれら国内外の取引先や関係企業への影響を注視したい。
資金繰り難に直面する企業増加
中小企業金融について、定期的に幅広い議論が行われる「中小企業政策審議会金融小委員会」(中小企業庁)が10月8日、半年ぶりに開催された。同日公表された配付資料によれば、2024年7月末までの実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の実績は、民間・政府系あわせて約45兆円にのぼる。リーマン・ショック時の資金繰り支援策「セーフティネット貸付」や「緊急保証制度」を上回る規模で支援がなされ、この結果、2022年度までは「倒産抑制」や「雇用維持」に一定の効果があった。 民間ゼロゼロ融資約136万件の返済状況(7月末時点)をみると、「完済」は全体の18%、残りの多くが「元金返済中」であり、今後の金利上昇局面で借り換え時に倒産がさらに増えるおそれもある。また、2024年度の信用保証協会の代位弁済率は、7月時点の推計で1.64%に上昇した。1%未満の2020~2022年度を経てコロナ前の水準に達しつつあり、コロナ前から業況が厳しかった先を中心に、資金繰り難に直面する企業が足元で増加している表れといえる。