バイデン米大統領のUSスチール買収阻止、新たな疑問が多数浮上
声明は「われわれはバイデン大統領が自身の政治的思惑のために米国の鉄鋼労働者の未来を犠牲にすることに他ならないと考える。買収完了時にUSスチールの株主に対して1株当たり55ドルを支払うとの約束を果たすべく、法的権利を守るためのあらゆる適切な措置を講じる」とした。
ブルームバーグ・ニュースは以前、USスチールと日本製鉄が今回の案件に関し共同で訴訟を起こす可能性が高いと報じていた。訴訟が具体的にどのような形式になるかは明らかではないが、両社の株主の利益を損なうと判断したさまざまな当事者を訴える公算が大きい。
違約金はあるのか?
買収が実現しない場合、日本製鉄はUSスチールに5億6500万ドル(約890億円)の違約金を支払うことが合意に含まれていた。政府によって取引が阻止されたにもかかわらず、支払いは依然として必要。
買収阻止は日米関係にどんな意味を持つのか?
この案件は重要な同盟国との関係に緊張をもたらすものであり、米国の対中競争において極めて重要。今回の決定は、米国のいかなる同盟国や産業も、国家安全保障に関する調査を免除されることはないとのメッセージでもあり、鉄鋼を戦略的分野として扱うという超党派の動きが継続していることを示すものだ。
トランプ次期大統領は、米国内で10億ドルを投資する意思のある国に対しては、承認を迅速化するとソーシャルメディアに投稿している。だが、日本製鉄による買収については外国資本にUSスチールが所有されることへの懸念を背景に阻止する考えを表明している。
USスチールの追求できる他の選択肢は?
法的措置以外にも、USスチールの取締役会が取り得る選択肢はある。会社全体または部分的に売却する是非を再検討する可能性が高い。
昨年、クリーブランド・クリフスは現金および株式で1株当たり54ドルの買収案をUSスチールに提示したが、日本製鉄が示した全額現金による1株55ドルでの提案に劣ると広く受け止められた。クリーブランド・クリフスや他の買い手候補が交渉のテーブルに戻ってくる用意があるかどうかは不明。