「入れてくれればどこでもいい」退去日が迫る78歳、住まい探しに奔走 収入・貯蓄あってもオーナー側は『孤独死』など懸念 「決まらなかったらホームレスだよって冗談で...」
高齢者の入居を「受け入れていない」賃貸オーナーが約4割
途方に暮れる中、今回Aさんが頼ったのは高齢者向けの賃貸仲介会社「R65」でした。代表を務めるのは山本遼さん。高齢者の入居に理解がある全国の仲介会社と提携して物件を紹介しています。 年間300件以上の住まい探しを支援していますが、そもそもなぜ高齢者専門にしたのでしょうか? (賃貸仲介会社「R65」 山本遼代表)「80歳の女性の方だったんですけれども、不動産会社に勤めていた頃に(相談に)来られたときに、『ここで不動産会社5件目です』とおっしゃっていて、5社回って、なかなか物件が見つからなかったということでしたし、僕自身、お部屋を探してみたときに200件ぐらい電話をして、借りられるところが5件しかなかった」 「R65」の調査では高齢者の入居を「受け入れていない」賃貸オーナーが約4割を超えていることがわかりました。その背景にはオーナー側が高齢者の入居はリスクが高いと考える傾向があるからだといいます。 (賃貸仲介会社「R65」 山本遼代表)「例えば孤独死や認知症になってしまうんじゃないか、家賃を滞納されるんじゃないかと、大家さんが恐れている。一番大きいところでいうと、いままで大家・不動産会社が、高齢者に(ほとんど)賃貸住宅を貸していない。この経験不足も非常に大きく関与していると思います」 賃貸での孤独死などは、残された荷物の処理や清掃で、次の人に貸すことができるまで多くの時間と費用がかかります。これらを未然に防ぐため、見守りサービスの活用や緊急連絡先を決めておくなどの対策が重要だといいます。
豊中市がいち早く相談窓口を開設
行政も課題解決に動いています。大阪府内でいち早く相談窓口を開設した豊中市。高齢者の民間賃貸住宅への入居を支援しています。昨年度は175人の高齢者が相談に訪れました。 (豊中市住宅課 岩下歌課長)「相談に来られる人の中には、複数の課題を抱えている人もたくさんいらっしゃいます。生活支援、介護保険制度、債務整理など、そういったところの市の窓口におつなぎしています」 豊中市では福祉や自立支援の担当者と連携して住まいを探すサポートをしています。相談者の課題を先に解決することで、入居の条件を満たす場合があるといいます。