「僕が見逃さないようにしていた瞬間は…」つるの剛士流、子どもの潜在能力を伸ばすために親ができること
手はかけずに、気をかける!伸びるには若干のストレスも必要
つるの:素直な感想を言ってあげるだけでもいいと思います。「ほめる」のとは少し違うニュアンス。一生懸命描いた絵に「すごくきれいな色。ママには思いつかない色使いだわ~」などと、子どもが苦心したであろう箇所を見逃さないでコメントする感じでしょうか。 いわママ:なるほど! 「ちゃんと見ているよ」「わかっているよ」という感じが子どもに伝わることが大切なんですね。それに、子どもが意識をしていないことを、大人が言葉にして表現してあげることも大事なポイントだなと思いました。 つるの:基本、気はかけるけれど、手はかけないスタンス。あまり手をかけすぎるより、ある程度ストレスを感じさせたり、放っておいたりした方が丈夫に大きく育つ「野菜作り」と同じ感じかな(笑)。子どもがある程度成長してからも、この姿勢は変わりません。こちらから丁寧に提案したり働きかけたりせずに、ある程度は子ども自身に悩ませたり、考えさせたりする時間が大切だと思うんです。 でも「バックにはちゃんとパパやママがついているよ」「応援しているよ」ということがきちんと伝わるような環境を作っておくことが大切。失敗したり、行き詰ったりしても「なんとかなる! 大丈夫!」という安心感があれば、いろんなことに対して恐れずにチャレンジしていけるでしょう? 結果、新しい世界が開けたり、成長できたりすると思うんです。 いわママ:親もそうですが、学校やまわりの大人が「ちゃんと見ているよ」「認めているよ」という姿勢でいることって、大切ですよね。
白紙の答案用紙の裏に描いた絵に100点をもらえた
つるの:そうなんです! 忘れもしない、僕が小学校4年生のときの話です。担任の先生が風邪でお休みをして、教頭先生が代行でいらしたことがありました。急遽授業の続きをするわけにはいかなかった教頭先生は「今日は、テストにしましょう」と、おもむろにテスト用紙を配られたんです。心の準備がなかったつるの少年の頭は真っ白(笑)。問題もまったく頭に入っていかない状態。「どうしよう……白紙で提出するのもなぁ」と悩んだあげく、答案用紙の裏に教室の窓から見た風景をものすごくリアルに描いて提出したんです。 結果、どうなったと思います? その教頭先生は、100点を付けて返してくれたんです! それを受け取ったつるの少年は「なんだぁ、勉強できなくても100点ってもらえるんじゃん」と、素直に勘違い。絵を描くことが大好きになり、勉強はしなくなりました(笑)。教頭先生だからこそできた采配だったと思うのですが、先生が「認めてくれた」ことが、とても心に響いたんです。その時、当たり前のように0点を付けられ、風景画に大きな×をつけられていたら、現在の僕はいなかった気もします。 だれかに認められる、見ていてもらえると感じることができるって、本当に大事なことなんです! だから僕も、親として、また大人として、わが子や関わっている子どもたちの「伸びようとしている芽」や「力」を見逃さないように、しっかりキャッチしてあげたいなと思っています。