薬局で薬剤師が病状を聞くのはなぜ?「さっき医師に説明したのに…」話題になった疑問を薬剤師が解説、実はとても重要なことだった!
問題点や課題にも取り組んでいきたい
大切なことを教えてくださった中野さん。しかしその一方で、そこには課題もあるといいます。 大きな課題として挙げられるのは、薬剤師と患者さんとのコミュニケーション。すべての患者さんに対し、同じように対応できるわけではありません。 例えば、患者さんのなかには込み入った会話をすることが難しかったり、早く帰って安静にしなければならなかったりする状態の方もいるでしょう。その点では、番組の出演者の「しんどいから早く帰りたいのに…」という思いにも、うなずける部分があります。 さらに、今回のXのリプ欄には、薬剤師としての主張や立場に理解を示す方が多かった一方で、このような辛口な意見もありました。 「(薬剤師が症状を聞いてくる時に)大声ではやめてほしい」 「オープンスペースで病名や症状を聞かれるのはすごくいやです。多少待ち時間が出ても、仕切りのあるところで1人ずつ聞いてほしい」 「症状は完全にプライバシーなものです」 病院・クリニックでは基本的に、患者は診察室で医師に症状を説明しますが、薬局では開かれたスペースで、不特定多数の人たちがいることもあります。そのような環境で病名や症状を聞かれたり、説明したりすることに抵抗を感じてしまう方もいるでしょう。 このような課題を中野さんはどのようにとらえ、取り組まれようと考えているのでしょうか?お聞きしました。 ――薬剤師との会話が「しんどい」と感じる方もいるかもしれません。そのような方に対して、どのように対応したいと思われますか? 中野さん:患者さんとどのようにコミュニケーションを取るかは、薬剤師にとって非常に重要な課題です。体調の悪い患者さんに対しては、その気持ちを理解するように努め、優先順位が高く重要な情報を伝えることが必要だと考えています。 ――「プライバシーの配慮」についての指摘も多くありました。 中野さん:以前(今回紹介の動画を)投稿した際にも、薬剤師との会話が他人に聞かれることへの不満や、薬剤師のプライバシー配慮に関するコメントが多く寄せられました。病院の診察室と異なり、多くの薬局が個室ではないため、他人に聞かれたくない情報も漏れがちです。構造的な問題はすぐには解決できないため、小声で話したり、必要な情報を紙に書いて示すなどの対応が必要だと思っています。 ――他に、薬剤師として皆さんに伝えたい、分かって欲しいことがありましたら教えてください。 中野さん:薬局が空いているように見えても、処方箋の処理があったり、外出中の患者さんが多かったりして、待ち時間が発生することがあります。この点を理解していただけると、患者さまのストレス軽減につながると思います。また、薬不足の問題から、薬がすぐに用意できない場合があります。薬局側もできる限りの対応をしていますので、この現状を分かりやすく広めることが、双方にとって有益だと考えています。 ◇ ◇ 今回の動画については、以前にも「薬局なのに症状を聞かれる理由に『納得』『経験ある』→薬剤師ユーチューバーが解説『医師もミスある』」という記事でご紹介させていただきました。 薬剤師の役目について皆さんに知って欲しいと願いつつ、課題も見据えて真摯に仕事に取り組んでいる中野さん。 薬局や薬にまつわるお役立ち情報も、YouTubeやXにて発信されています。 (まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・竹中 友一(RinToris))
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