【MLB】リーグ87年ぶりの三冠王の可能性を残すブレーブス・オズナ WARは大谷に劣るがMVPの可能性は?
日本時間8月21日、マーセル・オズナ(ブレーブス)は本拠地トゥルイスト・パークで行われたフィリーズ戦で6回裏に勝ち越しの37号ソロを放ち、3対1の勝利に貢献。打撃3部門のうち、打率と打点でリーグトップに立っているが、本塁打王争いでも大谷翔平(ドジャース)に2本差と迫った。ナ・リーグの三冠王は1937年のジョー・メドウィック(カージナルス)が最後。オズナが三冠王に輝けば87年ぶりの快挙となるが、その場合、大谷のWARを大きく下回るオズナがナ・リーグMVPを受賞することになるのだろうか。 【動画】ブレーブスのマーセル・オズナが37号ソロを放つ 日本時間8月21日の試合前の時点で、データサイト「ベースボール・リファレンス」が算出しているWARは大谷が6.2でリーグトップ。オズナは4.2でリーグ8位に過ぎない。データサイト「ファングラフス」が算出しているWARでも大谷が5.8でリーグトップ。オズナは4.3でリーグ6位だ。ともにフルタイムの指名打者であり、打撃成績は互角だが、大谷が盗塁も含めた走塁面で貢献度を稼いでいるため、WARでは大差がついている。 大谷は史上6人目の「40-40」を達成することがほぼ確実となっており、史上初の「45-45」や「50-50」を達成する可能性すらある。史上初の快挙に「WARリーグトップ」という称号が加われば、MVP受賞は当確と言えるだろう。しかし、オズナにはリーグ87年ぶりの三冠王を成し遂げる可能性がある。現時点で打率.309はリーグ1位、37本塁打は2位、94打点は1位だ。OPSも.979まで上昇しており、大谷(.991)との差は一気に縮まっている。オズナが三冠王に輝き、「リーグ最強打者」の称号を手にするようであれば、たとえWARで大差がついていようともMVP争いでも強力なライバルとなるだろう。 WARリーグトップと三冠王のMVP争いは、2012年のマイク・トラウト(エンゼルス)とミゲル・カブレラ(タイガース)の争いが記憶に新しい。この年、トラウトは新人ながら打率.326、30本塁打、83打点、49盗塁、OPS.963の好成績を残し、盗塁王のタイトルを獲得。「ベースボール・リファレンス」によるWARは10.5を記録し、2位に大差をつけた。一方、カブレラは打率.330、44本塁打、139打点、4盗塁、OPS.999をマークし、1967年のカール・ヤストレムスキー(レッドソックス)以来45年ぶりとなる三冠王を達成。ただし、WARはリーグ5位の7.1に過ぎなかった。しかし、当時はまだWARという指標が現在ほど重視されていなかったこともあり、MVP投票ではカブレラが22人から1位票、残りの6人から2位票を獲得して圧勝。WARダントツのトラウトは大差をつけられて2位に終わった。 MVP投票においてWARが最も重視されている現在において、2012年のような事象が起こることは考えにくい。今の価値基準で2012年のMVP投票をやり直せば、おそらくトラウトがMVPに選ばれるだろう。よって、大谷が「40-40」を達成したうえでリーグトップのWARを記録すれば、オズナが三冠王を獲得しようともMVPの栄誉は大谷に与えられるはずだ。大谷が2年連続3度目のMVPを受賞し、フランク・ロビンソンに次いで史上2人目となる「両リーグMVP」を達成する可能性は極めて高いと言えそうだ。